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1049枚目「デーモン」

奈落の王

Lord of the Pit / 奈落の王 (4)(黒)(黒)(黒)
クリーチャー — デーモン(Demon)
飛行、トランプル
あなたのアップキープの開始時に、奈落の王以外のクリーチャーを1体生け贄に捧げる。できない場合、奈落の王はあなたに7点のダメージを与える。

7/7

鬼が外にいたので。





デーモンとは悪魔である。そしてデビルも悪魔である。
彼らは語源や取り上げられた宗教が異なるだけで実際のところ大きな違いはなく、要は悪魔である。これ以上は悪魔召喚士に聞いてくれ。
ファンタジー作品においてはそれぞれの扱いが異なり、デーモンは強大な存在で描かれることが多い。人間よりも高い知能、威厳ある角に翼、迸る強大な魔力、ゴリラがごとき筋肉。
MTGにおいてもデーモンは大悪魔、デビルは小悪魔と別れている。
さらにインプは翼を持つ使い魔のような存在であることが多く、ほぼすべてが『飛行』を持っている。
次元:ラヴニカのデーモン『ラクドス』が統べ、自身の名を冠するギルド『ラクドス教団』ではその違いが分かりやすく描かれている。
かと言って、パワー/タフネスが高い大型のデビルやインプは普通にいるのだが、フレイバー的な違いをこんなものだろう。




デーモンは次元により成り立ちが若干異なったりはするが、黒マナそのものの顕現、化身として産まれる。
特に次元:イニストラードでは人間の脅威でありながら斃しても黒マナ由来であるが故に時を経て復活するというどうしようもない絶望であった。(だからアヴァシンはソリンが造り上げた牢獄『獄庫』へ封じ込めることにしていたわけだ。)
ちなみに、この黒マナ由来という関係からプレインズウォーカーの灯を持つことはないとされている。(この設定はオブ・ニクシリスの伏線として使用されたわけだ。)
その歴史は古く、リミテッドエディション、俗にいうαまで遡る。
原初のデーモンは《奈落の王》と《Demonic Hordes》の2種である。
Demonic Hordes (3)(黒)(黒)(黒)
クリーチャー-デーモン

(T):土地1つを対象とし、それを破壊する。
あなたのアップキープの開始時に、あなたが(黒)(黒)(黒)を支払わないかぎり、Demonic Hordesをタップし対戦相手1人が選んだ土地1つを生け贄に捧げる。

ドミニアを破壊せんと作り出されしこの悪魔たちは、もっと具体的な目的のために使役されることがある。

5/5

文字通り悪魔的な力を行使する存在を使役するのと引き換えに、プレインズウォーカーは多大な要求に応えなければならない。
《奈落の王》の影響は特に大きく、基本セットにたびたび再録されデーモンの象徴となった。(《遊戯の王》が『デーモンの召喚』したのも影響の1つだ。)
だが、デーモンが黒の象徴になるのはもっと先の事であった。
先述の通り、デーモンとは悪魔、神に仇なすものである。
当時まだ生まれたてのゲームだったMTGは保守的に走ってしまい、宗教色が強すぎるとしてアイスエイジを最後に登場しなかったのである。
その間、黒の怪物は同じく大型だった吸血鬼、『恐怖の怪物』ホラーなどが担っていた。
この顛末はマローが記事にしているので読むように。(英語のみ)

要はその制約が見直され、オンスロートブロック第2セット、レギオンの《にやにや笑いの悪魔》から復活したというお話。

余談だが、アングルードではデーモンが居なくなっていたことを基にした《Infernal Spawn of Evil》なるDemonBeastが、(来るぞ!)
続くアンヒンシドでは、BeastDemonとなった《Infernal Spawn of Infernal Spawn of Evil》が登場している。(僕も来たぞ!)





設定上、黒マナさえあれば登場できる存在なのでほとんどのセットに、ブロック単位で見れば最低でも1体は新たなデーモンが顕現し、その力を行使している。

西洋ファンタジーから大きく離れた神河ブロックでも『鬼』と関連付けられ、デーモンは鬼として登場。
最大の特徴である『第三の目』を筆頭に、オーガなど鬼に従属する下僕たち、さらには《鬼の印》を刻み闇に染まった者から本当に鬼と化すなど単純に黒マナが顕現した存在ではなく、デーモンに加えてスピリットを併せ持ち、悪霊的な側面がある。

日本では『殺人鬼』などのように『鬼』という言葉を人の悪意を形容するのにも用い、この辺りの言霊めいたアトモスフィアをウィザーズのデザイナーがくみ取った設定なのだろうと感心したものである。
誰かが『鬼と魂って似てるな!』と気づいたのかもしれない。鬼ヤバイ面白さのデモンズソウルも日本製だ。

その後も先述したラヴニカ、イニストラードなど様々な次元に特徴的なデーモンが登場し、黒の象徴、怪物枠クリーチャーの代名詞として君臨

詳しくはテーロスのメカニズム『怪物化』登場に際し書かれたマローコラムで語られているので読むように。(日本語あり)

吸血鬼やホラーを駆逐したわけでなく、特に吸血鬼は青のマーフォーク、緑のエルフのような黒の『特徴的部族』と位置付けられた点には留意したい。


物語面ではプレインズウォーカー、リリアナ・ヴェスが力と魔力を取り戻すために契約した『四大悪魔』が印象的だろう。

やはりベルゼンロックは9/9であって欲しかった。
今回の記事では深く掘り下げはしないが、見た目だけですでに魅力的な面々である。
ざっくり書くと、交わした約束忘れて全員消し去ったら、押し寄せた闇に隷属を迫られた。

 





個人的にデーモンは大きな不満はないのだが、黒の象徴として明確定義されたことでより強さを、カードパワーを求められ、代償はデメリットと言い切れないデーモンからむしろ、メリットを持つデーモンまで登場しているのには残念でならない。
これはベルゼンロックが6マナ6/6となった事にも影響している。(参考:『ドミナリア』での話 その1
我々の契約相手は正真正銘の悪魔である。
身を亡ぼしかねない代価を支払ってなお、力を求めてこそ黒であり、その魅力に憑りつかれた者は少なくないはずだ。

そんな私が思う、悪魔的暴力と悪魔的取引が両立しているデーモンはーーー


ワールドウェイク神話レア《深淵の迫害者》である。
なにせ、絶対に勝てない。これほどの代償があるだろうか。
さらには対戦相手は死ねない。4マナ6/6飛行トランプルという絶対的な魔力に屈してなおも自由を得られず、《深淵の迫害者》からの解放こそが死である。

しかし、欠点はやはりライフを支払えないことだろう。
自らの生を脅かしてでも力を求めてこそ黒い。生贄を捧げるのも、もちろんいい。
つまり、結局のところーーー


ようこそ、プレインズウォーカー。ここが奈落だ。
長くなり過ぎた記事を最後まで読んでいただき感謝する。
契約は読み誤らないように。


 

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フレイバーテキスト

  1. デーモン界も高性能を要求されてて苦労しているんだよ……

  2. あっ!遊戯王のデーモンの召喚のパクリカードだ!!!!1(特大釣り針)

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