Bog Humbugs (1)(黒)
クリーチャー — 昆虫(Insect)
飛行
Bog Humbugsが戦闘ダメージを与えるたび、祝歌1曲の、その点数に等しい数の音を鼻歌で歌う。そうできたなら、Bog Humbugsの上に+1/+1カウンターを1個置く。1/1
くだらん
ハッピーホリデーに関係者などへ配布される、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト流ホリデーギフトカード。2018年版がこの《Bog Humbugs》である。
2マナ1/1飛行なる弱虫だが、戦闘ダメージを与えるたびにその点数分曲奏でる権利を獲得。できたのならば+1/+1カウンターを置く。恥も外聞も抱えたままの弱虫には扱いきれないクリーチャーである。フレイバーテキストにはオタマジャクシが連なっているが、常人以上にMTG語が長けた私を以てしてもこれを読み解くことができない。
MTGwikiに手を借りたところ、定番中の定番「ジングルベル」のサビにあたる部分とのこと。
ホリデーギフトカードは全体的にウィザーズ社が君臨する米国の文化を反映した要素が全体的に散りばめられており、一緒に楽しく歌いましょう!という意図まではわかる。だが、なぜ虫なのか。常人以上にMTG語が長けた私を以てしてもこれを読み解くことができない。
MTGwikiに手を借りたところーーー
「Bog Humbugs(沼のブンブン虫)」は、小説『クリスマス・キャロル』の主人公の台詞「Bah, humbug!(ふん、くだらん!)」の捩り。さらにhumの2つの意味「(ハチなどが)ブンブンと音を立てる」と「鼻歌を歌う、ハミングする」が掛けられている。
という、言葉遊びに満ち溢れたネーミングだった。
ふん、くだらん!
あるところにとても偏屈で傲慢で狭量でうんちがいた。高騰するシングル買いを渋り下環境に手を出せず、MTGアリーナも手持ちのカードでカジュアルデッキを組んでは崩す無課金勢。デカスロンのような勝利至上イベントには興味を示さない。嫌われる以前に見向きもされないMTGマンだった。
明日はクリスマス。リアルEDH、discordMTGに勤しむプレインズウォーカーたちを尻目に彼は今年もテキストエディタと睨めっこ。「ケーキよりもカードでしょ!」と強がったふりをする弱者のふりをする強者を看破、どうせケーキ頬張りながらカードだろとTwitter画面をタブの端に追いやっていた。
内容を入力してください。
すると、1人のフブルスプが訪ねてきた。もう誰も覚えていないかもしれないが、当ブログにおけるかのホムンクルスは諸君らの、名も無きプレインズウォーカーたちの声を届けにやってくる使いだという裏設定がある。
ーーー妙な話だった。貴殿らのPCはVtuberの配信かdiscordの分割ビデオ配信を、スマートフォンは現在4分割された40を映し出しているはず。もしや、とうとう出たか。思えば、次のセットはネオ神河。サイバーゴーストが速めに登場しても何ら不思議ではない。
これからあなたのところに3人の幽霊が来ます。
そこから新しい生き方を学び取らないと、あなたはーーー
くだらん。他人の言葉で動くほど私は弱くなどない。そう言い返す前に、1番目の幽霊がやってきた。
やあ。
名前はもう思い出せないが、過去に。そう遠くない昔に出会った覚えのある幽霊だった。その幽霊はMTGマンがMTGマンになる前の『過去』。具体的に言うとライブドアブログ時代の若々しい光景を見せた。
「イゼ速」「趣味裏」を筆頭としたまとめ系がスポイラーブーストで隆盛を極めた時代。当時を知らない人は現在Twitterで盛んなプレビューカードを見てあれこれツイートしているのと同じことを想像していただければ問題ない。
うんちは大志を抱いた。自らの好きなカードを自らの好きなように綴れば。これらに勝てるとはいかないまでも「なんか情報まとめてるブログの中に意味不明なもん混ざってる」くらいのランキングは作れるんじゃないか。そう思い至って7月6日…の3日後に実行へ移した。
当時1万数千種ものカードを誇ったMTG。ネタが尽きるわけもなく、書き続けることは充分に可能だった。先述したブログとの相互リンクも果たし、おこぼれを頂戴する形でブログは順調に育って行った。
MTGマンは自らが追いすがる過去を、数字をしかと見届けた。オーコはシカトした。
鹿を繋いだソリが天へ走っていくと、入れ替わり2番目の幽霊がやってきた。
やあ。
再誕していた。MTGマンが現在最も好きなカードと吹聴する《ニヴ=ミゼット再誕》だった。「どうせ1枚もめくれやしない」と嘯く彼に輝かしい『現在』を見せた。
仕事納めに沸く人。サンタコスを垂れ流す絵師。ソシャゲイベント。コラボ配信。ネット乞食。アフィツイート。そもそもネット見てないリア充。爆発しろ。サンタクロースを信じる子。いやサンタクロースはいるよ派。
10種ものハッピーホリデーな在り方をMTGマンに見せた。一見するとどれも多種多様、千差万別と思えるが、ただ1つ。「誰かと繋がっている」という共通点があった。(物理的な意味を含む)
そして、それはMTGマンが「くだらん」と吐き捨てたものでもあった。
満足したニヴ再誕が大空へと飛び立つと、3番目の幽霊がーーーやってこなかった。
ふん、くだらん。
とても偏屈で傲慢で狭量でうんちに『未来』はなかったのだ。いいや違う。彼が手に触れているキーボードから出力される、バイト代にもならない2バイト文字だけが彼の未来だった。ホリデーギフトカード、1枚くらい欲しかった。
もはや幽霊と化したMTGマンが空を舞う。聖夜に響く小気味いい打鍵音は奇しくも「タンタカターン!タンタカターン!タンタカタッタターン!」。『ジングルベル』を奏で、+1/+1カウンターが1個置かれた。
フレイバーテキスト
オーコくんとニヴ様で態度違いすぎて共感しかない
こんなものを何年も追い続けてるのはせいぜい一人くらいなものだろう!ふん、くだらん!