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1258枚目「ミリーを救いたい。」

猫族の戦士ミリー

Mirri, Cat Warrior / 猫族の戦士ミリー (1)(緑)(緑)
伝説のクリーチャー — 猫(Cat) 戦士(Warrior)
先制攻撃、森渡り、警戒(このクリーチャーは先制攻撃を持たないクリーチャーより先に戦闘ダメージを与え、それは防御プレイヤーが森(Forest)をコントロールしているかぎりブロックされず、攻撃してもタップしない。)

2/3

猫族の戦士ミリーを救いたい。





『エクソダス』レアで、3マナ2/3先制攻撃・森渡り・警戒。
後に《ウェザーライトの決闘者、ミリー》としてリメイクされているが、今回はこちらを考慮せず進めることは先に伝えておく。

飛翔艦ウェザーライトの艦長、シッセイの誘拐から動き出す物語「ウェザーライト・サーガ」。
背景世界の中でも壮大にして、長くその主軸にあったことから人気を集め、今なお語り継がれている英雄譚となる。
多くの英雄たちが戦い、そしてそのほとんどが散っていくことで著名ではあるが、そんな中でもミリーは特に悲惨だろう。

想いは報われるどころか、伝えることすら叶わない。
戦士として優れていたが故に、命を落とす。
事象が入れ替わる禁断「if」の物語ですら、悲惨的な末路。
そんな、悲哀しかない猫族の戦士がミリーである。

彼女はどうあがいても死ぬ運命にある。
だが、どこかで。死を回避できなかったのだろうか。「破壊不能をつけよう」とかそういう話ではない。

(余談となるが、《猫族の戦士、ミリー》のデザイン段階にはプロテクション(黒)を有し、対黒において無敵を誇った。だが、これでは「彼女の死因」を克服してしまうので物語上そぐわないと変更された経緯がある。)

理念と実装の狭間|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
世界中で5千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム、マジック:ザ・ギャザリングの日本公式ウェブサイト。

カード的な側面でなく、物語から。ミリーの人生を振り返っていく形を取りつつ、十数年後からの歴史介入の余地を探っていく。都合のいい展開の空想物「ミリー・スー」とでも呼ぶが言い。

その1

次元:ドミナリア。名が明かされていないとある森にて、ミリーは生を受ける。
左右で瞳の色が異なる「虹彩異色症」、いわゆるオッドアイを持って生まれたことで、これを不吉の兆しと見做していた同族に捨てられてしまう。(なお、一番ミリーの顔がでかく描かれているであろう《エルフの憤激》でも瞳の色の違いが確認できない。わかりやすいイラストがあればご一報を。)

その後、ヤヴィマヤの森の守護者にして森そのものであるエレメンタル《マローの魔術師ムルタニ》に拾われ、戦闘技術と魔法を学び育つ。また、同じくここで学ぶジェラード、ロフェロスと親友になる。

共に過ごす年月の中で。ミリーはジェラードに対して種族の壁を超えた恋心を抱くようになっていく

・もしも猫族たちがミリーを受け入れていたら。

風習というものは根深く、完全に取り除けるようなものでもない。
だが次元:アラーラのレオニン《アジャニ》も白変種に生まれ忌み子と扱われたが、後に王となる兄《ジャザル》の加護と、その兄に応えるべく鍛えたアジャニ自身により次第に群れへと受け入れられていった。

後述するミリーに求愛する猫族やラノワールのエルフらを考えたら、オッドアイを不吉と考えていない人々との出会いがより早ければ、ムルタニの元でジェラードに会うこともなく、ウェザーライトへの乗船イベントも発生しなかった可能性が高い。
これが「生存エンド1:ウェザーライトに乘らない。その1」となる。

また、そうして別の地にて育ち優れた戦士として成長したミリーがウェザーライトに乗船することになったとしても、共に育った年月が恋慕を募らせたとするならば、乗船後にハナと恋仲になっているジェラードへと目を向けることはなかっただろう。
こうして生存エンド2が成立・・・するかと思いきや、死因を考慮すると薄く、生存確率は低い。

その2

そんな折、ムルタニはミリーに猫族の村へ使いに出され、それにジェラードも同行する。
そこで猫族の青年から求愛を受けるが、すでに意中の相手がいることからこれを拒む。
やり取りの中で、ジェラードの心が自分に向いておらず、思いが成就しないことを悟り、さらにその後の生涯を左右する予言を授かった。

ここで猫族に加わり、安寧に生きるか。
それとも、人間たちの中で報われない思いを抱いたままに冒険を生きるか。ジェラードと共にあるか。例え、自らの手で彼の命を奪うことになったとしても。

ミリーは、ジェラードの隣にいることを選んだ。想いを胸の内に秘めたまま。

・もしもミリーが求愛を受け入れていたら。

彼女は想いを告げずに去ったことを後悔し続けるかもしれないし、別れの折りに告げて決別出来ていたかもしれない。
しかし、ジェラードにとってミリーは共に育った優秀な魔法戦士であることに変わりなく、仮にミリーが家庭を持っていたとしてもシッセイ救出の助力に請いに訪れる可能性は否めない。
そして、ミリーもそんな同門にして幼馴染の懇願を不意にできるかは難しい。シッセイ救出までの期間限定でなら参加しかねない。その後の末路は正史をなぞることになるだろう。

よって、ここでは生存条件は満たせない。

その3

ミリーはジェラード、ロフェロスと共に強大なアーティファクト「レガシー」探索に世界を回る飛翔艦ウェザーライトに乗船する。
ある日、同じく乗員のクロウヴァクスの故郷が凶悪な怪物に襲撃されているとの報を受け、ウェザーライトはアーボーグへと向かう。

その地にて。ガロウブレイドとモリンフェンによる一族皆殺しの場に到着。ウェザーライト一行は激闘の末両者を倒すも、ロフェロスが命を落としてしまう。

この親友の死をきっかけにジェラードはウェザーライトから離脱。ミリーは、ロフェロスの死を伝えるべく彼の故郷ラノワールへと向かい、その地で受け入れられたことからそのまま暮らすこととした。

第10版再録時のフレイバーテキスト

美と優雅さに満ち、捕食者の本能も持ち……ミリーはさまざまな場所に行きますが、私はラノワールが一番合っていると思っています。

――― ラノワールの使者ロフェロス

・・・クロウヴァクスは墓守りとしてアーボーグに留まることを選んだ。
彼の一族には代々受け継がれていた指輪がある。そこに封じられていた天使セレニアに、恋心を抱いていた。
孤独の中で次第に精神を病んでいったクロウヴァクスは、セレニアに癒しを求め、自分を愛してくれるに違いないと開放する。
しかし、自由を手にした天使は彼に報いることなく姿を消してしまうのだった。

・もしもアーボーグに向かわなかったら。

ロフェロスは死なず、ウェザーライト一行は離れ離れにならない。
とは言っても、ガロウブレイドとモリンフェンはヴォルラスの命を受けたファイレクシアの工作員。
別の機会に戦闘となっていた可能性は充分考えられ、ロフェロスに限らずジェラードやミリー自身が命を落とすことすらあり得るだろう。

それよりも重要なのはクロウヴァクスの行動に違いない。一族抹殺という最大限の悲劇を以て故郷に一人留まるのは理解できる。
だが他に誰か気心の知れたものでも居なければ、孤独に呑まれるのは明らか。無理に説得してでもウェザーライトに乗せ続けるべきだった。
それでも、セレニアへの想いは募らせる一方で、いつかどこかで解放してしまうだろう。そうすると、その後の展開はどうしても回避できない。

ミリーの生死にとって真に重要なのはこの「セレニアの解放」イベントである。
しかし「生存エンド2:セレニアを開放しない。」は極めて難度が高い。クロウヴァクスがこの指輪を見つけることなく過ごすか、幼き日の想いと分別し貴族らしく相応しい令嬢を娶るしかない。
後に発動する呪いの事を知っていればまた違った展開になったかもしれない。

その3

それからしばらくして。ウェザーライトの艦長、シッセイがファイレクシアの前線基地:ラースを統べるエヴィンカー、ヴォルラスによって誘拐される。
ジェラードは恩人であるシッセイを救うべく艦長代理としてミリーに助力を願い、彼女はそれに応じウェザーライトへと復帰する。

・もしもラノワールに留まっていれば。

非常に考えにくくとりにくい選択肢となるが、この時ラノワールに留まることを選べば「生存エンド3:ウェザーライトに乘らない。その2」成立となる。
ちなみに、この時、ラノワールでは《アボロス》という怪物の脅威に晒されていたのをウェザーライト一行と共に討伐。ジェラードとミリーは他の乗組員に実力を認められる重要イベントが入る。

その4

次元:ラースへと突入し、ついにはシッセイが幽閉されているヴォルラスの要塞に至る。
しかしそこで。ファイレクシアによる改造の施された天使セレニアの奇襲を受ける。

ミリーは唯一反応できたが重傷を負ってしまう。セレニアが止めを刺そうとするその瞬間。

クロウヴァクスは意を決し、想い続けた自らの守護天使に刃を振るう。

二人はウェザーライトへと戻され治療を受ける。だがこの時。すでにクロウヴァクスの身には変化が起きていた。セレニアを殺したことで呪いが完成してしまったのだ。

吸血鬼となり凶暴化したクロウヴァクスは医務室を離れ、どこかへと向かう。その不審さに気づいたミリーは後を追い、ウェザーライトを破壊しようとする彼と戦闘となる。
もつれ合いながら船外へと落下、戦闘は続くも、吸血鬼化の進行したクロウヴァクスの戦闘力は高く、ミリーは首筋を噛みつかれてしまう。

シッセイを救出し、追っ手と戦闘するジェラードを見かけると、吸血鬼の呪いに従いクロウヴァクスの影響を受けてジェラードに手をかけようと。かつて告げられた予言のように。ミリー自身の手でジェラードを切り裂こうと意識が呑まれかける。
だが、ジェラードに声をかけられたことで正気を取り戻し、クロウヴァクスとの戦闘を再開するが・・・。

予言は覆した。飛び行くウェザーライトを見送り、ミリーはその生涯を終える。

・もしもクロウヴァクスを倒せていたら。

まずここで考慮するのは『次元の混乱』の《呪われたミリー》である。

英雄は果たせず、殉教者は堕つ。 時間は捻れ、運命は入れ替わる。

このカードは、「ミリーがクロウヴァクスの代わりにセレニアの呪いを受けたら」という別の可能性のカードで、吸血鬼・猫である。
こちらの世界でクロウヴァクスは呪われていないことから、セレニア奇襲の際にミリーがそのまま勝ってしまったのだろう。

正史に話を戻す。上述した通り、クロウヴァクスに噛まれた時点で吸血鬼化の呪いが進行しているのでで、その後の戦闘に勝てたとしても《呪われたミリー》になってしまう可能性は高く、ウェザーライトはそのまま脱出していくのでラースに取り残されたまま。クロウヴァクスをなぞるように、エヴィンカーへ向けて動き出すことになるだろう。

つまり、戦闘には噛まれずに勝利せねばならない。これが「生存エンド4:彼岸島」となる。
正気を保てているのなら、ラース現地の反ファイレクシア勢力と合流、スカイシュラウドごとドミナリアへの帰還という活路も見出せる。

最後に

まとめると、「ウェザーライトに乘らない」「セレニアを開放しない」「クロウヴァクスに噛まれずに倒す」。このいずれかがミリー生存への道である。

最後となるが、これはミリーが歩んだ生涯を否定するものでしかなく、与太話として聞き流してもらいたい。
彼女の悲劇性にこそキャラクターの魅力の一端があるのも否めない。


今回はskeb納品物です。リクエストありがとうございます!
ヒストリックブロール→ヤーグル→『イニストラード:真夜中の狩り』と予定が立て込んだ結果、本日に至りました。またの機会があれまよろしくお願いします。

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参考文献

・ドミニア英雄譚 猫族の戦士ミリー編、隆盛なるエヴィンカー編(共にwebアーカイブ)

Magic: The Gathering
Magic: The Gathering
Magic: The Gathering
Magic: The Gathering

・マジック開発秘話「理念と実装の狭間」

理念と実装の狭間|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
世界中で5千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム、マジック:ザ・ギャザリングの日本公式ウェブサイト。





 

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