Wrangle / 世話 (1)(赤)
ソーサリー
パワーが4以下のクリーチャー1体を対象とし、ターン終了時まで、それのコントロールを得る。そのクリーチャーをアンタップする。ターン終了時まで、それは速攻を得る。グレムリンには忠誠心などないが、餌探しには熱心だ。
気づけばもう年末。
Twitterのハッシュタグに「#いいねの数だけお世話になったカードを紹介する」なるものを見かけたので書き連ねていくこととする。何年か前にもやった気がしたのだがその時はRTされた数だったし、しかも2015年の話だった。
これほどの月日を経ればいろいろな変化があるもので、まさに《世話》というカードが誕生していた。だがこのカードのお世話になった記憶は、ない。
《脅しつけ》を筆頭とした赤が得意とする一時的なコントロール奪取呪文で通常構築でもリミテッドでも都合のいい場面で使えればそのまま勝ってしまうことがある大変気持ちのいい呪文。従来では3マナソーサリーが相場のところ「パワー4以上」という制限を課されることで2マナと若干の軽量化。同じくお馴染みである《投げ飛ばし》とのコンボがしやすくなってはいるが揃っている時に限って対象に困るのがマジック:ザ・ギャザリングである。
お世話になっていないと言いながら《世話》について、さらにグレムリンまで深掘りして書き連ねたまま終えそうなので本題に移る。まさに余計なお世話ってわけですね!
上手い!!!!!!!!
2022年12月23日午後18時現在でいいね数は12。なので、12枚分のお世話になったカードへ感謝を捧げることとする。
1.《照光の巨匠》
『ニューカペナの街角』アンコモン。青黒白「常夜会一家」に属する謀議で二段攻撃。彼について触れるには欠かせない生物いる。
《嵐追いのドレイク》である。呪文の対象となるたびに1ドローする2マナ2/1にして飛行。リミテッドで遭遇した際に「こいつおかしくね!?!?!?!?」と衝撃が走りそのままデッキを組んだ1枚。
要は《嵐追いのドレイク》対象に強化呪文唱えまくってれば勝てる。当時のスタンダードには『ストリクスヘイヴン』が共存しており、インスタント・ソーサリーを唱えるたびに誘発する「魔技」によりパワー/タフネスが上昇するクリーチャーと合わせることで致死量のダメージを叩き込む寸法だった。
ローテーションにより同級生を失いそのままデッキも放置していたのだが、より凶悪な刃が差し向けられていた。それが《照光の巨匠》である。《嵐追いのドレイク》と同じく対象とするたびにデッキを掘り進める上に二段攻撃。同じ役割を持つ同マナクリーチャー2種8枚搭載。謀議に合わせろと言わんばかりに軽量呪文は問題なく揃っていた。
こうしてデッキの完成度を高めてくれた実に感謝すべき対象なのだが、BO1番長にもほどがあり今では対峙する回数のが遥かに多く、もはや憎む存在にもなっている。
先攻2ターン目《照光の巨匠》出されて除去ったら2枚目の《照光の巨匠》+1マナ防御呪文とかMTG上手い人大杉てつらい。ありが・・・とう・・・。
2.《衝動》
『ビジョンズ』で登場し、多くのコンボデッキの安定性に寄与した万能呪文。4枚見て好きなカード1枚手札に加えます。見れる枚数が多く呪文でも土地でもその時必要なカードを探し出せる上に2マナインスタントで非常にプレイしやすく、なんかもう青けりゃ全部入っていいんじゃないかとすら思える。当時を代表するカードの1枚としてMTG20周年記念商品 『From the Vault:Twenty』に1997年代表として収録されていた。
『ビジョンズ』 | 『From the Vault:Twenty』 |
『ビジョンズ』日本語版は切り直せと書いてあるが気のせいである。 |
そんな、歴史に名を残す強カードがなんか普通に帰ってきた。『タルキール龍紀伝』にて見れる枚数が1枚減った下位互換《予期》が再録を重ねスタンダードに定着しつつあったが、微妙な立ち位置だったことが影響しているのだろうか。
3枚と4枚。ここにどれほどの差があるのか数学的見地を持ち合わせていないが、とにかく使い倒して必要なカード持ってきてくれている。
ありがとう。もっと衝動的に。あざっす!!!!!!
3.《怪物的戦ヒル》
あれやこれやとデッキを組んでいても。どうにも環境デッキの劣化版というか汎用的なパワーカードに占められることが多い時代。そのような閉塞感に私は苛まれていた。状況を打破すべく、例えそれが愚かで本来やるまでもない発想でもとりあえず組んでみる”高まり”を生じることが時にはある。
『団結のドミナリア』で発したそれは《トレイリアの恐怖》を筆頭としたコモン怪物サイクルだった。
特定の条件で軽量化する大型クリーチャーサイクル。すでに【青単】で強さが知れ渡り、というかもう呪文最強色青様で呪文詰め込んどけば降ってくるフィニッシャー強すぎるからやめえや《トレイリアの恐怖》であるが、今一度他の面々を使ってみれば専用デッキが組めるのではないか。
そう思いまずは5種4枚積みから始めた。明らかに条件が厳しく戦力に乏しい白《アルガイヴの密集軍》は解散、意外と戦場に出はするがバニラである《ヤヴィマヤの滞留者》もお流れとなった。
クリーチャーが多すぎることで《トレイリアの恐怖》は本領こそ発揮しないもののそもそも1マナで出てくるのがおかしいだけ。逆に墓地のクリーチャー参照の《のたうつ分解者》は主戦力。何か1枚でも出さえすればとんでもなく軽くなる《溶鉄の大怪物》はそこまでひどくはない。
流石にこれはデッキではないのでなにか相性のいいカードはないかと眺めてみると、ちゃんとデザインされていた。それが《怪物的戦ヒル》である。「墓地にある最大マナ総量のパワー/タフネス」。7マナの怪物たちどれか1枚でもあれば4マナ7/7という規格外戦ヒル。墓地に送り込む手段もこのヒル自体がキッカーで持っている。ドミナリアでヒルと言えば大変お手頃なレアな石ころが思い浮ぶがあの者らとの関連性は全くなさそうだ。
さらにクリーチャーにして呪文のようにも扱える神河由来の「魂力」。1セットのみで種類が少なく芳しくはないが《鏡殻のカニ》は7マナでありながら3マナ打ち消しという《怪物的戦ヒル》に載せるために生まれてきたような性能なので採用に至る。奇しくも腕めっちゃ生えてるヒルなる奇怪なイラストだがよく見ると頭上にはザリガニに似た種族ホマリッドがふんぞり返っている。ザリガニの代わりにカニ乗せたっていいだろう。
いいってさ。ありがとう。
4.《熊野》
『神河:輝ける世界』アンコモン。カード名長いけど速攻で終わらせるし感謝も速攻で伝える。
第1章から第3章までアグロに必要なもん詰め込んでくれてありがとう。先攻初手で来い。
5.《クルーグ公、ウルザ》
『兄弟戦争』はウルザとミシュラともにアンコモン(青年期修行時代)、レア(壮年期)、神話レア(最終決戦時)と異なるカードで収録。《クルーグ公、ウルザ》その内のレアにあたる。
ブログ上で触れるのは初めてとなるが私には弟がいる。私ほどのめり込んではいないが彼もMTGのルールを理解するプレインズウォーカー。せっかくの『兄弟戦争』、やるしかないだろう…リアル兄弟戦争を…!
というわけで兄である私がウルザデッキ、弟である弟がミシュラデッキを構築することとなった。リアルでの紙製品発売前にMTGアリーナでの実装直後から使い倒した。事前に目した通りアーティファクトクリーチャー活用路線なレアウルザはまさに兵器増産にひた走る物語上での姿そのものだった。神話ウルザがおおよそコントロールデッキに特化させた方が扱いやすい性能なことに比べ、レアウルザは全体強化とアーティファクトコピー。デッキの構築幅が広く使用していて面白いのはこちらだった。
コピー対象は深く考えずとも《マイトストーンとウィークストーン》が最強に位置したのがまた面白い。
ありがとう。
伝説故にコピーしても1枚しか戦場に残せないがきちんと戦場に出ているので誘発。毎ターン単体-5/-5修整で詰ませるようになる。クリーチャー化すると除去耐性が大きく落ちるのであえてオリジナルの方を残すのを視野に入れる小テクを授けておく。
ここから何枚かは納得のいくウルザデッキ完成に至るまでの道筋と称しても過言ではない。それほどまでにウルザは良いカードだった。強くはない。
6.《継ぎ接ぎ自動機械》
話は『兄弟戦争』プレビュー前に遡る。ウルザという人物をそれなりに知っている以上、ある程度の予測を立ててデッキを組むことが可能だった。多元宇宙でも稀に見る天才発明家。軍拡による資源争いを描く兄弟戦争。アーティファクトクリーチャー並べるでしょ路線である。(この予想通りレアウルザが登場することとなるがレアリティ別に3枚は予想できなかった)
昨今のカードデザインは前後にセットを跨いだデッキ構築を成すカードを仕込んでいることが多分にしてある。そうしてリストを眺めるとやはり『神河:輝ける世界』でのアーティファクト推しが際立つことに気付ける。中でも《継ぎ接ぎ自動機械》の性能は圧倒的である。護法(2)の除去耐性にアーティファクトを唱えるごとにサイズアップ。もはやスタンダードよりも広いフォーマットで真価を発揮するが、仮想ウルザにも抜群の適正があるように思え、こいつを軸にアーティファクトアグロを構築した。
万能たるウルザではあるが色適性的には青>白>黒。このうち2色の青白で来ると仮定したためにスタンダード内で最高のコンボとなる赤《増員された浪人》は使用しない。1マナは《鉄の弟子》や《ネットワーク攪乱者》で埋めてデッキは成立。
大きな問題が2つあった。1つ目は《継ぎ接ぎ自動機械》自体は問題なく育つが回避能力が一切ない。装備や換装するにも青白では芳しくなくそこまでマナ使ってはいられない。2つ目は入ってるカードが弱い。もはやMTGはゲーム中盤に1マナ1/1引いてるようなゲームではなくなっていた。
『兄弟戦争』ではアーティファクトクリーチャーこそ増えたものの大型兵器主体でこの2種が抜けることはなかった。そんなばかなと何度呟いたものか。1つ目の問題は解決したものの、2つ目は如何ともしがたくアグロ路線は研究を停止。これにて完成となり進歩を無くした遺産【ウルザズレガシー】として後のデッキへと糧となった。
《継ぎ接ぎ自動機械》の誘発条件がアーティファクトが唱えるたびなのが妙に難しく、スタンダード内のアーティファクトクリーチャーではどうにもパワー不足だった。これがもし戦場に出たときだったら間違いなくレアだった。ありがとう。
7.《隔離用構築物》
同じく『神河:輝ける世界』からもう1枚。さらに同じく仮想ウルザデッキで採用したアーティファクトクリーチャーである。2マナ2/1と本当に最低限の戦闘能力しかないが、捨てたカードを追放してプレイ可能とする独自性の高い能力がとてもそそられた。
先述した通り青白での構築。あるではないか。《信仰無き物あさり》が。
2枚引いて2枚捨てる。普通に使えば手札1枚損失するのだが《隔離用構築物》によりプレイ可能となる。この時に土地を捨てていれば…?そう、ここに青白の《表現の反復》が相成るのだ。
ーーー本来《隔離用構築物》は捨てることで効果を使える魂力とのシナジーを期待したものなのは明白である。しかし、どう見ても効果が薄いか重い。改めて《鏡殻のカニ》を見てほしいのだが魂力3マナ+7マナなんて出せるわけがない。さらに《隔離用構築物》でのプレイ期間はターン中のみ。インスタントタイミングでの誘発に意味がない。そもそも《信仰の繕い》がインスタントなのもほとんど意味がないほどに。生まれる時代を間違えた。《野生の雑種犬》は絶滅しているのだ。
よって、コンボ決めると「やるな!」エモートが飛んでくる割にやってることがしょぼいというファンデッキあるあると化してしまったが、自力でたどり着いた一つの解にはデッキ構築の醍醐味を感じさせてくれた。
環境からの隔離用構築、ありがとう。
8.《厳しい授業》
『兄弟戦争』で登場した手札交換呪文。2枚引いて1枚捨てる、だけでなくパワーストーン1個がついてくるマナ加速。もちろん、アーティファクト呪文か能力コストにしか使えないものの元よりウルザ主体のアーティファクトデッキでしか考えていないので純粋にメリットだった。
お察しの通り《隔離用構築物》との相性は特筆に値する。私の先行研究が補強され《信仰の繕い》から全差し替えに至るのだがそもそも強い動きではない厳しい授業でもあった。
それでも『兄弟戦争』を正面から捉えたパワーストーンに使い道のある合致したデッキならば充分すぎる性能であらゆるウルザデッキでの採用に至っている。ありがとう。
9.《浮遊する像》
『兄弟戦争』飛んでる像。2マナでターン終了時までクリーチャー化する。さりげに飛行は元々ついているので何らかの手段で永続的にクリーチャー化しても飛行はそのまま。
しかし、彼・彼女らクリーチャー化アーティファクトの真価は任意であること。自らが放った全体除去呪文を避けて後に更地を翔ける絶望。《浮遊する像》に至ってはサイズも上がるので一石二鳥。イラストも全体火力をものともせずにガッツポーズしている。
ここで話をウルザ。神話ウルザはアーティファクト、インスタント、ソーサリーの1マナ軽減である。
《浮遊する像》は軽くなるし、育てる除去もドロー呪文も軽くなる。もはや天才発明家ウィザーズオブコーストの術中にはまったデザイナーズデッキ構築へと勤しむこととなった。
もっとシンプルなドローや妨害呪文を詰め込んで青白コントロールにウルザを添えた形の方が明らかによく、そうなればなるほどウルザという存在が抜け落ちていく。《集団失踪》。ウルザの姿が、消えた。
ウルザ型コントロールは全く以て芳しくなくデッキ崩壊という運命を背負った。そもそも現行スタンダードはもはや3マナ以降のカードもれなく必殺に値する。《浮遊する像》、2マナで何もしないカードを出してる場合ではなかったのだ。
でもーーー
インスタントで妨害しまくってフィニッシャーで仕留める。
そんな懐古MTGは味わえた。ありがとう。
10.《鋼の熾天使》
『兄弟戦争』レア。もはや強い要素しかないので軽くに留める。3マナ3/3飛行の時点で充分すぎる上に、終盤では6マナ5/4といつ引いても戦力になる。自分戦闘開始時に飛行、警戒、絆魂のいずれかを与えるのが自身でもいいし他のクリーチャーでもいい。
《継ぎ接ぎ自動機械》が飛んだ。ありがとう。
11.《街並みの地ならし屋》
《パワーストーン技師》《厳しい授業》でパワーストーンは並ぶ。とにかくマナ加速にはなる。しかしその使い道。《鋼の熾天使》《戦闘の打破者》完成品でもまだ物足りない。《ファイレクシアの門》は非生物、そもそもファイレクシアの名を冠するカードを使用するわけにいかない。なにかないか。
それは、ただ大きすぎたが故に見つからなかった。ありがとう。
12.《恐怖のドールハウス》
「アーティファクトクリーチャーを並べる」「ウルザの能力を活用する」「レア、神話両者のウルザを採用する」・・・。目的と手段は見えてきた。そんな折にふと思い出したのが《恐怖のドールハウス》だった。かつて《柳の霊》を大きくすべく使用して爆散したこのカード、上手いこと噛み合うのではないか。
なによりーーー
ファイレクシアンと化した弟ミシュラを見て絶望したウルザに機械の身体を与えてみたかった。
そんな面白を抜きにしてもデッキとしては充分噛み合っていた。
アーティファクトなので神話ウルザが1マナ軽くし、人形に詰め込んだ構築物はアーティファクトクリーチャーなのでレアウルザにより+2/+2修整を受ける。
《パワーストーン技師》《ファラジの考古学者》《戦闘の打破者》は序盤を支えつつ再利用してもおいしい。《鋼の熾天使》は1/1でもサポート面が優秀、《街並みの地ならし屋》は自力で蘇生した方がいいが《恐怖のドールハウス》で速攻がつくので1発ぶっ壊すことはできる。
デッキ自体には抜群に噛み合っている。しかし、《墓地の侵入者》《死体鑑定士》《未認可霊柩車》によって墓地はもはや追放領域への通過点にしかなっていないのがあまりに辛い。《告別》はそもそも撃たれたらゲームにならないので割り切ってる。よって、《恐怖のドールハウス》特化型にするわけにもいかずこのような枚数散らしサブプランまみれのデッキとなっている。
そのおかげでウルザが覚醒したりアーティファクトクリーチャー並べて圧殺したりマイトストーンウィークストーン増やしてみたり地ならし屋飛ばしたりウルザ機械化したりテフェリーとカーン有効活用できたりする、多様なウルザの物語が綴られた面白いデッキになったのでこれをそのまま紙化した。
ありがとう。
フレイバーテキスト
生きてたんですね…良かった、明日の本命記事も楽しみにしてます!
\(^o^)/
お前の新規記事を読みたかったんだよ!
ザ•ファンデッキって感じでめっちゃ楽しそうで最高