Azorius Signet / アゾリウスの印鑑 (2)
アーティファクト
(1),(T):(白)(青)を加える。迷路のような文様は、アゾリウスの法の中核を具現化している――意志を試し、変化を止める厳格な構造だ。
アゾリウスの印章は「どうせきたねえ事すんだろ」と思ったらその通りでした。
『ディセンション』初出のコモン。ギルドのシンボルを象ったマナフィルターでありながら、無色1マナを有色2マナへの変換なのでマナ加速としても機能する優秀なアーティファクト。
2色の組み合わせ10組の各ギルドに存在し、《アゾリウスの印鑑》は青白のギルド「アゾリウス評議会」に対応する。
「アゾリウス評議会」は”法”である。創設者アゾールが定めた魔法「ギルドパクト」の下に、次元:ラヴニカの社会秩序を形成すべく法律を定め、看過する者を裁く武力を持つ。しかし現状維持を最大多数の幸福と見做し、変化を嫌う。時には権力が暴走し、決して清廉潔白なギルドだとは言い難い側面がある。
(アゾリウスがもたらす新世界秩序を築くべく《アウグスティン四世大判事》暗躍した物語が『ディセンション』であるが今回は割愛する。)
カードとしても対戦相手に制限を課すカードと、迅速に戦場を治めるべく優秀かつ軽量なクリーチャーが目立つ。先述したギルドの代表者《アウグスティン四世大判事》は自分の青と白のカードを1マナずつ軽減する能力と同時に、対戦相手がプレイするカードのマナコスト1増やすという、まさにアゾリウスらしい能力を持つ優良クリーチャーである。
4マナということもありアグロ、コントロール共に適した能力である。しかし、アグロとしては2021年現在ほどクリーチャーの質が高まり切っておらず若干力不足。コントロールとしてはクリーチャーである事が災いし全体除去呪文《神の怒り》に巻き込まれる点から完全に相性が良いとは言い難い。
それでも「ドロー」「カウンター」の青と汎用性の高いパーマネント妨害の白。コントロールカラーの代名詞にして、打ち消し呪文の基本が《マナ漏出》、全体除去が《神の怒り》という呪文側が強力な布陣な時代だったことで複数の【青白コントロール】が登場する。
《アゾリウスの印鑑》は主に《神の怒り》を安定して放つためのマナファクトとして採用された。
まずはリアニメイト。当時主に釣り上げられたのが《絶望の天使》だったために青白黒【太陽拳】、これにちなみ《ボガーダンのヘルカイト》を釣り上げた青白赤【昇竜拳】。
『時のらせん』にて白単色《蘇生》が再録(タイムシフト)してきたことにより、《ゾンビ化》などリアニメイト呪文を有する黒を抜いた構築が行えるようになったのが最大の特徴だろう。
次に【青白トロン】。《トリスケラバス》をフィニッシャーに据えた正統派のトロンと、《砂の殉教者》+《再誕の宣言》コンボによる序盤から膨大なライフ回復を行うことでロングゲームを狙う白いカードを多めに採用したタイプが登場する。
もはや青マナと白マナ出せるってだけで強いんじゃないかと考えてしまうくらい採用は多岐にわたった。
これだけで話が終わってしまうので、「アゾリウスの昔話」をしようと思う。『ディセンション』発売当初。当時通っていたカードショップにて仲間内でプレイしていたドローカルな印象論。メタゲームを度外視した牧歌的マジックな話になるのを前置きとしたい。
アゾリウス予見
私個人としては『ラヴニカ:ギルドの都』『ギルドパクト』で力を出しすぎた関係で『ディセンション』3ギルド、特にシミックとアゾリウスに関しては対戦相手としての思い出とデッキ変貌の経過観察となる。
アゾリウスが持つ能力は「予見」。
マナコスト+カード公開により何度でも使用可能な起動型能力。ただし、自分のアップキープかつ各ターン1度の制限を課されている。
その内、《雲の群れ》に着目した飛行アグロともいうべきデッキを試す者が現れた。
青と白。共に飛行を有する色で、アゾリウス内にも軽量フライヤーに恵まれていた。なにより、その《雲の群れ》自身が予見による引くトークン生成能力を持つため、最悪これだけで勝てるのではといった方向性である。
他にも《宮廷の軽騎兵》《アゾリウスの伝令》のギルドに対応した色マナを支払っていると機能する向上クリーチャーの両者ともに質が高く、なおの事アグロ路線を支える。
対戦相手である私としては、明らかにコントロールカラーなのにアグロ方面が盤石で一体どういうことなんだと、主に《アウグスティン4世大判事》へのヘイトを募らせていたものの、万全に機能させるには予見と向上の色マナ制限から使用感は芳しくなく、攻撃力の面では時間がかかり過ぎたのが難点で次第に上述したコントロール方面へと移行していく。ちなみに《宮廷の軽騎兵》はそちらでも強い万能に近い存在である。
アゾリウスにそれほど惹かれなかった私だったが、唯一。対峙して光るものを感じたカードがあった。
《風を裂くもの》
ウィンド・ブレーバー
往年の名クリーチャーにしてかつて「青最強」の称号を手にしていた《変異種》に通じる複数の起動型能力。なにより、かっこいい。絶対溜め攻撃で真空破放つ嵐の騎士王。
彼を主軸に据えたデッキを模索したが、攻撃するには白マナ分のタフネス上昇とステータス入れ替えの青マナが必要というとんでもない色マナ要求数。防御を盤石にするには警戒分の白マナ。さらには、除去耐性として青マナを備えねばならなず、初出しにも再出陣にも5マナがのしかかる。
マナをつぎ込んだ分だけ強くなる《変異種》には遠く及ばない、マナつぎ込んでやっと普通。《潮の星、京河》《明けの星、陽星》の『神河』ドラゴンズに《曇り鏡のメロク》、《怒りの天使、アクローマ》《トリスケラバス》といったフィニッシャーに遠く及ばず、数少ない長所であるセルフバウンスでの除去耐性も「刹那」の登場で厳しい立場に。
結局私も《宮廷の軽騎兵》を残しアゾリウス解体となった。風断ちぬ。
100日後に完成する統率者 26日目
印鑑サイクルは優秀なマナファクトととして統率者戦において広く採用されるカード群のようだ。多色統率者ならば色の合う印鑑をとりあえず採用しておいて何一つ不便はない。
《アゾリウスの印鑑》は『統率者2013』にて新規イラストが登場。それ以降の再録を重ねている。
例によって採用するのは『ディセンション』版となる。使う側に回るとは。永く生きてみるものだな。
フレイバーテキスト
よし!これで全ギルド出揃ったな!
思ったより楽どすなぁ!