スポンサーリンク

1231枚目「造命師の動物記」

巻きつき

Winding Constrictor / 巻きつき蛇 (黒)(緑)
クリーチャー — 蛇(Snake)
あなたがコントロールする、アーティファクトやクリーチャーの上にカウンターが1個以上置かれるなら、代わりにその数に1を足した数のその種類のカウンターをそのパーマネントの上に置く。
あなたがカウンターを1個以上得るなら、代わりにあなたはその数に1を足した数のその種類のカウンターを得る。

2/3

巻きつき蛇が到達したのは





工業と芸術の次元カラデシュ
ここでは、おおよそすべて生活は発明家たちが造りだしたアーティファクトに支えられる。
機能性の極致に至ってなお線条細工を駆使した曲線美が象徴的な美術性の追求は、工業の発展に伴う環境破壊よりも、自然との調和を手にしている。

カラデシュ最大の都市ギラプールで開催される、発明家たちの祭典「発明博覧会」。
卓絶した操縦士たちと共に最新鋭の機体が陸を、空を駆ける。
闘技場では、戦いに特化した自動機械同士による激闘が繰り広げられる。
何も見た目の派手さだけではない。より良い技術の革新をもたらすべく生み出された道具たち。
そして、自然、即ち動植物。彼らが成した生命の発展から学び、精巧かつ完璧を目指した機械生物。

ある若き「造命師」は焦っていた。
発明とは欲求の発露である。そして、欲求とは単純で、壮大なものだ。
彼は欲した。祭典に相応しい物品を。より大きく、より美しく、他にないものを。
市民の注目を浴び、同業者たちの嫉妬を買い、ギラプールに名を轟かすための起点となる作品を。
彼は才能にこそ恵まれたが、誇大化した欲求を満たす発明に至っていなかった。
発明博覧会は近い。領事府の検査通らなかった場合の手直し期間、それを考慮すると残された時間は多くない。

この日もまた、創造することなく想像に徹してしまう。成果は何一つない。
散乱した開発室の中でふと、一冊の本が目に留まった。
《造命師の動物記》と題されたそれは、かつて一世を風靡した造命師によるものである。

”発想というものは外部を見つめることから得られるのです。”

・・・この一文こそ造命師の本質だろう。幾度も目にしていながら、追い詰められた心境だからこそより心へと響いたのかもしれない。
フィールドワークを怠っていたわけではない。ただ、本当に見つめていたのか。そこから何かを得ようとしていたのか・・・。

夜明けの街へと飛び出し、森林へと駆けるといきなり蛇に躓いた。
巣穴から起きだしたばかりであろう、寝ぼけ眼のまま這いずる蛇は、苛ついているのか、造命師の足へと巻きつく。
しかし蛇はまだ小さく幼かった。怒りのままに締め付けようにも、挑んだ標的は機械巨人に等しく思えただろう。
造命師は容易く解き早速見つめると、規則正しく表皮を覆う鱗に注目する。
自然との調和は何もカラデシュに住まう文明社会だけのものではない。
動物も、この蛇もまた、アーティファクトへと適合を果たしていた。
煌びやかなその硬化した鱗は金属にも匹敵するだろう。まさに、機能性と美術性の融合。

開発室に戻り蛇の試作品を組み上げると、再度森へと向かった。
マーキングを施した蛇を見つけ、比較してみると、驚いたことに蛇は一回り大きく成長していた。
獲物を丸呑みにしたような、特定の部位のみの変化ではなく、全身が大きく、長くなっていた。
完璧な模倣を目指す造命師は、試作品へと巻きつく蛇を解くとすぐに開発室へと戻り、試作品を一回り大きく仕立て直す。
すると、また蛇は一回り大きくなっていた。

おそらく、この蛇は成長し続ける。私の蛇に負けじと大きく、さらに美しく。
人間を、いや、機械巨人を呑み込むほどに。いやいや、アラダラ急行をも超えるのでは・・・。

・・・これ以上は観察の本域を超えて、生態系の破壊へと繋がると判断する。
好奇よりも調和を重視する造命師は、蛇に勝利と感謝を捧げた。

発明博覧会当日。《ワームとぐろエンジン》と名付けられたその発明品は、『あの日巻きついた蛇を模した一匹』と『それと等しくそれでいてどこか違うもう一匹の蛇』。
蛇が持つ殺意と、紡いだ絆を込めた一対が織りなす機械生物だった。さらに、結果的におおよそカラデシュには存在しない殺戮機構を有する。


しかしその『完成』度に気付かれることはなく、領事府によって他の発明品共々持ち去られ、続く改革派との紛争により行方知らずとなる。

喪失感はなかった。まだまだこれから。一回りずつ成長していくのだ。
かの蛇がより大きく、より美しく。他にないほどに壮大となるように。


《次元橋》。ある計画に利用されるべく持ち去られた稀代の発明品の試運転にその蛇が選ばれる。
特別な加工がない故に、次元間移動を耐えきれず崩壊していく蛇の残骸は、異なる世界へと送り届けられた。

―――エルドレインに伝わる《石とぐろの海蛇》。
なぜ海蛇ではなく蛇なのか。それは、また別のお話。


 

今回はSkebテキストの納品物です。リクエストありがとうございました!
内容は完全に妄想であらゆるカードと無関係なもので、《巻きつき蛇》の特徴とカラデシュの世界観へ巻きついたものです。

Skeb - Loading app...





 

広告

神河:輝ける世界
発売日: 2022年2月18日
ドラフトブースター Amazon 駿河屋
セットブースター Amazon 駿河屋
コレクターブースター Amazon 駿河屋

フレイバーテキスト

  1. またひとつカウンターを積みましたね

今日の手札

ポータル

タイトルとURLをコピーしました