Giant Killer / 巨人落とし (白)
クリーチャー — 人間(Human) 農民(Peasant)
(1)(白),(T):クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。
「大きい方が有利だって?奴らは俺に気付きもしない。」
1/2
Chop Down / 切り落とし (2)(白)
インスタント — 出来事(Adventure)
パワーが4以上のクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。(その後、このカードを追放する。あなたは後で追放領域からこのクリーチャーを唱えてもよい。)
巨人落としから何を学べばいいんだろうか。
『エルドレインの王権』レア。「出来事」を経験する当事者クリーチャーの1つ。クリーチャーとしてそのまま唱えるか、出来事呪文をプレイして追放した後、クリーチャーとして唱えることができるようになる。
要は1枚のカードで2枚分として機能する効率の良いメカニズムとなる。便利すぎるために呪文としてもクリーチャーとしても同コスト帯より若干劣る・・・なんてことは全くない。
むしろ過去のカードと見比べても同一どころか使い勝手が増していたりするものが多く、『エルドレインの王権』のカードパワーの高さを象徴する能力となっている。
《巨人落とし》本人は1マナ1/2に、2マナでクリーチャー1体のタップを行ういわゆる、タッパー。起動コストこそ重めで白マナを要求されるが、タップ対象に制限はなく、そもそもクリーチャーとして最低限、コスト相応の戦闘力を有していることを考えれば納得できる。
出来事《切り落とし》はパワー4以上限定の単体除去。こちらも3マナと若干重めだが、同一性能の《軍団の裁き》がソーサリーなことを考えればインスタントなのがどこかおかしく感じてくる。
対象こそ選ぶがクリーチャーとして問題なく機能する点でメインデッキに採用しやすく、際立って強力な出来事クリーチャー《恋煩いの野獣》《砕骨の巨人》に次ぐ位置として赤緑白【ナヤアドベンチャー】や【ナヤウィノータ】にて採用された。
スタンダード最終盤では【ナヤウィノータ】が環境上位に位置した関係でパワー4以上のクリーチャーをあえて避ける対策が取られ、特に【ジェスカイ変容】が3/5《幼獣守り》を見出したのは記録として残しておきたい出来事である。
フレイバー面では特に力の入ったカードだろう。元ネタはイギリスの童話「ジャックと豆の木」である。
童話らしく細部が異なることは多いが、主旨は以下の通り共通しているだろう。
・少年ジャックは母親の使いで市場に牛を売りに行く。
・しかし、途中で出会った老人に「魔法の豆」との交換を持ちかけられ、それに応じてしまう。
・ママ激怒。豆を外に捨ててしまう。
・翌朝、捨てた豆が空に届くほど大きく成長。ジャックは登ってみることにした。
・てっぺんに辿り着くとそこには城が。中に入ると巨人の奥さんがいた。
・「夫は人食い巨人だから逃げるように」と忠告を受けていると、夫が帰宅。
・奥さんが上手いことはぐらかす中で会話を盗み聞ぎ、巨人が財宝を貯め込んでいると知る。以降、隙を見て盗みを働くようになる。
・バレた。
・ジャックは急いで地上に戻り、斧で豆の木を切るとーーー
巨人は落ちて死んでしまいました。
ここから得られる教訓がこれと言ってわからない。解説を調べるにジャックは「楽をして得られた財宝に価値はない」と諭され真面目に働くようになったと後日談が付け足されたりするらしい。
どちらかというと巨人側の立ち位置から考えて「世の中には親切をあだで返す畜生がいる」と学んだ方が良いのかもしれない。
フレイバーテキスト
スタンいる間はあーだこーだ揉めたとはいえカードパワー高い次元は人気になりがちだエルドレインもいつか再訪するだろうけど、その際に熱心なテストプレイヤーによって出来事系統が暗号ばりに味の抜けたガムのような性能になってたらそれはそれで嫌だなぁ…