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1089枚目「ティム東白楽 追記」

放蕩魔術師

Prodigal Sorcerer / 放蕩魔術師 (2)(青)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
(T):クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。放蕩魔術師はそれに1点のダメージを与える。


魔道学院の研究者も、時には快楽に目覚めることがある。それでも、彼らが雇い主に困ることなどめったにない。

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放蕩魔術師とはティムである。





リミテッドエディション。αやβと称される、初版から基本セット第7版まで収録されたコモン
現在では考えられないことだが、青にして直接ダメージを与える能力を持つクリーチャーで、その起源でもある。
当初は彼のように「直接ダメージを与える魔法」というのがの役割として存在しており、同様のクリーチャーや同様の能力を持たせるエンチャントが登場している。
 
《放蕩魔術師》
第7版エターナルマスターズMagic Online Vanguard

基本セット最後の収録。
顔が怖い。

往年の名カードらしく再録。
唯一のアンコモン。
顔が若い。
特殊ルール「ヴァンガード戦」で用いるMO限定アバターにもなっている。

 

1点と微量ながら相手の行動を著しく制限できる青と相性は良く、ロックデッキの勝ち手段として採用されたり、継続的に生成される1/1のトークンを撃ち落とし続けたり、顔の通り渋い仕事を果たしてくれた。
基本セット第8版からは再録されず、直接ダメージを与える能力は火力有するの物と定義され、《放蕩魔術師》の色違いとして次元の混乱に《放蕩紅蓮術士》が登場する。
《放蕩紅蓮術士》
ちなみに《放蕩魔術師》は時のらせんで旧イラストで再録(タイムシフト)されており、新旧共存している。

その後、基本セット第10版から《放蕩紅蓮術士》が基本セット入りし、《放蕩魔術師》は過去のカードとなった。
だが「ティム」という、映画「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」の登場人物に似ていることからつけられた《放蕩魔術師》の愛称は、現在ではそのままタップでダメージを飛ばす能力を持つパーマネントへの俗称として定着している。
ダメージを与えたら即破壊が成立する「接死」との相性の良さはリミテッドでは特に度々話題となり、今後も聞く機会が無くなることはないだろう。

公式記事:TOM-SHIFTED
《放蕩魔術師》から《放蕩紅蓮術士》へのお話。元ネタとなった「ティム」の写真あり。
 
公式記事:エターナルマスターズ EPISODE 01「放蕩魔術師」
再録に伴い書かれた短編小説。いかに愛されているかわかるだろう。
 
 





もしそこにその店がなかったら。

購入報告の少なさから察することはできるかもしれないが、私の地元にMTG取り扱い店は少ない。そもそも無かったことすらある。
現在では、遊戯王ポケモンなど他のカードゲームに力を入れてMTGはシングル取り扱いこそないとはいえ、カードショップが出店されたり、全国展開しているレンタルショップが動画配信サービスに押されてか、デュエルスペースを完備するほどに力に入れたこともあって新セットを発売日に直接購入できる環境になっている。

そんな現状とは程遠い少年時代。かつて大人気漫画、デュエルマスターズの影響でMTGに進出する友人こそいたが、長く続くことはなく、私は「変わったカードを集めてる奴」だった。

学生時代。生活圏の変化により、私は都会へと毎日通うこととなる。
ここを濁しても意味がないのではっきり言うが、大都会「横浜」である。
神奈川とは横浜であり、横浜とは神奈川なのは事実。神奈川県は横浜とその他。横浜はすべてがある。神奈川のドミナリアである。

横浜駅から2駅、改札出て徒歩1分、調子が良ければ秒単位というアクセス良好すぎるにもほどがあるだろという立地に、その店はあった。
「ティム」の名を冠する、明らかにマジックで、老舗だった。
駅前書店の2階にあった店舗は古く、そして、狭かった。
デュエルスペースはせいぜい10人が限度といったところだろう。
現在でも社会問題となっている「カードショップ臭い問題」は当然として、「酸素足りない問題」により限界を迎え外に出ると真上に電車が通っている構造でありながら空気のおいしさを感じることができる店だった。

ブースター適当に買って一番いいレア出たやつが勝ちな」という、男の子特有のその場のノリに「いいね!」とレジの向こうから参加してくる気さくさに、店員にレジを任せて《塵を飲み込むもの、放粉痢》採用の新作ロックデッキで大会を締め上げるマジック好きな店長。
やんちゃ坊主をきちんと叱りつける、規律を担った店員さん。
全体的に雰囲気は良く、幅広い年齢層に親しまれ、多くの常連獲得に成功していたように思う。
横浜駅近辺では近年カードショップの出店数は増し、そして入れ替わりも起き、もはや把握できていないほどなのだが、当時はイエローサブマリンを筆頭に数店舗行脚出来ていた程度。
私の索敵性能が低かっただけでもっとあったんだろうが、私はこの店に通い詰める日々を送っていた。

しばらくして。老朽化からかビルの立て直しの話が上がり、1階に入居していた書店が閉まるとの噂から、2階はどうなるのかと話題となったが、ほどなく店舗移転の情報が入り事なきを得た。(この辺ちょっと記憶が怪しい。)
新店舗は体感で2倍以上の面積に通気性を獲得していた。
改札から徒歩1分切るアクセスの良さは、信号の気分次第で徒歩2分程度とさして変わらず。
しかしその頃には生活環境の変化から通うことは少なくなり、年に1度行けばいい方で、「思い出の場所」となっていった。

もしそこにその店がなかったら。
私はマジックを続けられなかったかもしれない。
少なくとも、そこへ通い詰める友人と出会うことはなく、長い休眠期間を挟んでいたことは間違いない。
神河物語シールド1発目でトーナメントパックからトップレア《夜の星、畜生》を引き当て泥沼にはまることもなかっただろう。
ラヴニカのショックランドを売り払いラヴニカブースターへと変える「土地転がし」という貴重な経験はできなかっただろう
老舗故に在庫が存在した《イーサンの影》を購入することもなかっただろう。
ガイアの揺籃の地》を1000円で売ることもなかっただろうし、スタン落ち間際に《闇の腹心》を800円で手放すこともなかっただろう。
見知らぬ他人に誘われ野試合することもなければ、店舗大会に参加することもなかっただろう。

起動1点ダメージ。それは確かに、あの頃の私の財布へと毎ターン与えられていた。
ありがとう、ティム東白楽店。
あの頃の私は、私たちは放蕩魔術師で、放蕩魔術師だった。

追記:2020年7月1日

存続するとのこと。

 

ティムではなくなるのだろうか。
実質《放蕩紅蓮術師》になるようなものである。





 

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フレイバーテキスト

  1. いい結び

  2. 昔の思い出をもっと語って欲しい

  3. 今はオンライン対戦があるから全員とは言えないが、紙でやってた人は誰しもが思い出に残る店やスペースがあったと思う
    まだ残ってる人は、どうか大切にしてあげてほしい
    消えた俺達の分まで

  4. 横浜が神奈川のドミナリアは笑う

  5. 昔はよく行ったなあ
    近所の蕎麦屋はうまかったけどラーメンは外れだったり
    狭い店内で雑に並んだカード漁ったり
    臭かったり
    いい思い出

今日の手札

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