Think Twice / 熟慮 (1)(青)
インスタント
カードを1枚引く。
フラッシュバック(2)(青)(あなたはあなたの墓地にあるこのカードを、そのフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後それを追放する。)「私が必要な呪文は、知ってるか、間もなく知るかだ。」
熟慮は今回も欲しかったけれど《表現の反復》と比較されてしまうと間もなく知った。
元は『時のらせん』コモン。上記のイラストは『イニストラード』で再録されたときのものとなる。
基本的なことは以前触れているので、今回はフラッシュバックについて振り返っていく回にしようと思う。
つまりフラッシュバックをフラッシュバックするというわけです。これをオチにフラッシュバックさせるので覚えておいてください。
『オデッセイ』
全体として「墓地」がテーマとなった『オデッセイ』にて登場し、ブロック全体を象徴とするキーワード能力の1つである。
墓地からフラッシュバックコストを支払うことで再度使用可能とする、文字通り1枚で2回使える能力。それでいて、何らかの呪文や能力で使う機会無く墓地に落ちてしまっても1度はプレイ可能となる画期的な能力だった。
『エルドレインの王権』を経験したであろう現代のプレイヤーには「出来事」を思い返してもらえればその利便性の衝撃度が伝わるかもしれない。
その関係上、元々の効果量が低めだったり、フラッシュバックが重めに設定されるカードが多かったが、ソーサリーであること以外欠点がない1マナ2点火力《炎の稲妻》、2回使える2枚ドロー《緻密な分析》。そして『オデッセイ』トップレアに君臨した《獣群の呼び声》は当時を代表するカードと言ってもいい活躍を見せた。
『オデッセイ』当時、フラッシュバックや一部墓地から機能するカードにはカード名の横に墓地アイコンが表記された。 |
《炎の稲妻》は軽量クリーチャーを処理しつつ攻撃を通し、最後の2~4点を削り切る用途で当時の赤緑アグロ【マッドステロ】御用達。気づけば『モダンホライゾン』に再録されていた。
《綿密な分析》はフラッシュバック2マナがとにかく軽い。墓地からの使用専門と言っていい扱いで、使用可能なフォーマットでは現在でも採用されうる独自性を持つ。3点は実質0点。
《獣群れの呼び声》はその地味な性能からレアに相応しくないとみられていたが、その実3マナ3/3と4マナ3/3の展開をたった1枚で保証する雑な強さがすぐに明るみとなる。これは実際に体感しないとわからない強さかもしれない。とにかく緑を含むアグロやミッドレンジにコントロールまでとにかく突っ込まれ4000円になっていた。
『時のらせん』で再録されると、『オデッセイ』での活躍再現するかのように暴れまわり、当時緑の三大パワーカード《タルモゴイフ/Tarmogoyf》《獣群の呼び声/Call of the Herd》《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》と共に「TCG」なる俗称が作られたほど。
MTG生物学研究会では3/3を見て「鹿だ」と言うのは現代っ子。「象だ」と言い出すのはこの時代の経験者だとわかる。
フラッシュバックそのものがデッキの主戦略ではなく、純粋に便利なカードといった扱い。強いが壊れてはいない絶妙なバランス、なにより、引きすぎた土地を受け入れてくれる度量から広く愛されていた。
『時のらせん』
『時のらせん』では「過去のドミナリア」、『次元の混乱』では「異なる現在」、『未来予知』では「起こるかもしれない未来」と異なった切り口で時間を取り扱った『時のらせん』ブロック。その表現として、とにもかくにも雑多に過去の能力やメカニズムをカードごと再録しまくり、その中にフラッシュバックも含まれていた。
先述した通り、《獣群の呼び声》は『時のらせん』にて再録され、当時の緑を代表する1枚まで登り詰めた。
《熟慮》も同じく『時のらせん』にて初登場し、青いコントロールに広く愛された。
それでもまだ便利、強いカードの範疇だっただろう。
いわゆる、壊れた。最もやらかして有名となったのは間違いなくーーー
《戦慄の復活》である。
純粋なクリーチャー蘇生呪文だが、問題はそのフラッシュバックコスト「クリーチャー3体」。一見重いようで実際にただデッキに入れるだけでは機能しないのだが、マナコストが一切不要かつ、色を問わず使用可能というのがとにかく緩い。
《戦慄の復活》もろとも釣り上げたいクリーチャーを墓地へと落とし込めれば。ついでに、クリーチャー3体を調達できてしまえば。そんな夢のような状況をスタンダードの時点で実現していた。
『ラヴニカ:ギルドの都』に登場していたゴルガリ団の「発掘」。これにより自分のデッキをどんどんと墓地へと直接送り込むことに成功。さらに『未来予知』では《ナルコメーバ》《黄泉からの橋》なる勝手に沸いてくるクリーチャーを獲得するとコンボデッキ【ナルコブリッジ】を成立させる。
その後は今は亡きフォーマットエクステンデッドで活躍した後、モダンでは制定時から禁止カードとなっている。その後を顛末を見ると、解除されることはまずありえないだろう。
【ナルコブリッジ】というデッキ自体はモダンにおいてそのまま発展をし続けーーーと、話がそれてしまうのでここで打ち切る。
『イニストラード』
吸血鬼・ゾンビ・狼男の三大怪物が躍るゴシックホラーがテーマとなった『イニストラード』ブロック。ホラーに墓地はつきもので、なにより記憶に色濃く残り夜明けを迎えても恐怖体験がフラッシュバックする。
便利すぎる《熟慮》《古えの遺恨》の再録に加え、インスタントソーサリーすべてをフラッシュバックする《炎の中の過去》、フラッシュバックだと効果が2倍になる《高まる残虐性》などのサイクルと、ゾンビ13体といったように「1枚で2回使える」基本設計以上に豪快な発展をしていく。
ーーーようで、《信仰無き物あさり》《未練ある魂》なるコストがどこかおかしいカードを生み出す。
《信仰無き物あさり》は赤にルーティングが持たされ始めた時期故の調整からかとにかく軽く、墓地利用デッキに赤を参入させる大きな原動力となった。モダン禁止。
《未練ある魂》は通常3マナで1/1飛行が2体と充分なのに、フラッシュバックではなぜか1マナ軽くなり2マナ1/1飛行が2体なる怪奇現象を巻き起こした。《無形の美徳》のおかげでこれ以上の打点を稼ぎ出し、共に【白黒トークン】最大の武器として活躍する。
そしてーーー
《瞬唱の魔道士》である。
2マナ2/1瞬速で墓地のインスタント・ソーサリー1枚にフラッシュバック。彼1枚で記事全部余裕で行けてしまうので軽くに留めておくが、スタンダード当時から【デルバー】【トリコトラフト】などクロックパーミッション系統を支えたえげつねえパワーカードで、2021年現在に至るまでクリーチャーの中では群を抜いた汎用性を誇る。
以下はスタンダード当時フラッシュバックしていた青い呪文の一例。
ドローでも火力でも打ち消しでも既に有効活用した呪文をもう1度使えるというフラッシュバックそのものの強さを最大限に発揮しているのは間違いなく彼だろう。1~2マナの軽量呪文ひしめくモダン以下の環境で採用され続けているクリーチャーである。
『イニストラード:真夜中の狩り』
『イニストラードを覆う影』でマッドネスに一旦席を譲り、改めて再登場を果たした。人気過ぎる。
現状ではシンプルに優秀なドロー呪文《記憶の氾濫》と《アールンドの天啓》をコピーする《感電の反復》が際立った活躍を見せている。
《熟慮》はというと再録されることなく《考慮》されることとなった。
というあたりでフラッシュバック・フラッシュバックを締めたい。
はい、墓地から《熟り・・・。
無い・・・。
もう、唱えてた・・・。
フレイバーテキスト
<《熟慮》の再録に《古えの遺恨》という便利すぎる呪文に、
《古えの遺恨》も時のらせんから再録ですね(クソリプ)
ありがとうございます修正しました!
なぜだ…狼男のイラストで覚えてたからかな…