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1116枚目「アーカムアサイラム」

アーカムの天測儀

Arcum’s Astrolabe / アーカムの天測儀 (氷)
氷雪アーティファクト
((氷)は氷雪パーマネントからのマナ1点で支払える。)
アーカムの天測儀が戦場に出たとき、カードを1枚引く。
(1),(T):好きな色1色のマナ1点を加える。

氷河期は去ったが、その遺物は今でも新アルガイヴで眠っている。

アーカムの天測儀が危なそうなので隔離された。





『モダンホライゾン』のコモン
まずはカードよりも、「アーカム」とは何ぞやについて語ることから始めたい。

稀代の発明家、アーカム・ダクソン

アーカムとは、《アーカム・ダクソン》を指す。
次元:ドミナリア。ウルザとミシュラの兄弟戦争により生じた『氷河期/アイスエイジ』(AR450年)の末期から、プレインズウォーカー《フレイアリーズ》による氷河期の終結「雪解けの時」(AR2934年)頃に活躍した機械技師、工匠である。
『アイスエイジ』では《Soldevi Machinist》(ソルデヴの機械技師)という肩書のみのクリーチャーだったが、長い時を経て『アイスエイジ』ブロック第3セットとして『時のらせん』頃に突如として発売された『コールドスナップ』にて改めてカード化され、「スターライト・マナバーン」にも登場した。
 
《Soldevi Machinist》 《アーカム・ダグソン》
テリシア大陸東部に位置した王国、キイェルドー第三の都市にして工業都市、ソルデヴ。多くの機械技師が集う街で彼は特に優秀な存在だった。
すごい悪いプレインズウォーカー、レシュラック(カード化してくれ。)のすごい手下の《すごい櫃》を持ってることですごい有名なすごい悪い顔したすごいネクロマンサー、《リム=ドゥール》が仕掛けたキイェルドー・バルデュイア連合軍との戦いに機械技師を従えゴーレムと共に参戦。勝利を収めたその後、ソルデヴを代表する機械技師の長として市を治める立場となる。
これによりソルデヴは繁栄、全盛期を迎えるが、やはり何事にもアンチは存在し、急速な発展に異を唱える「異端者」が活動する。しかし、それ以上に危険だったのは大いなる機械(意味深)を崇拝する集団だった。アーカムは、地下で活動する彼らを都市伝説として意識しなかったが、ついには機械崇拝者がチートコードを入力したアーカム製の蒸気機械獣と、機械獣を創る上で参考となった発掘品《Phyrexian War Beast》によりソルデヴは壊滅。滅亡する。
《Soldevi Adnate》 《Soldevi Steam Beast》 《Phyrexian War Beast》
この辺りの物語は、公式記事においてカードのフレイバーテキストを流れに合わせて組み立てることで語られている。
ただし、英語のみ。
『コールドスナップ』では、氷河期終結の阻止及び再来を目論む超強い氷属性《霧氷風の使い手、ハイダー》がソルデヴの遺跡を研究、ファイレクシアの機械軍団を編成したことで、自責の念からこれを停止させるのに尽力。
 
《冷鉄の心臓》 《霧氷風の使い手、ハイダー》 《ファイレクシアの鉄足》
アーカムはその後まもなく心臓発作により亡くなった。(AR2956年)

参考

Soldev: The (sort of) Untold Story:上述

MTGWiki:アーカム・ダクソン及び関連項目。

MTGWiki海外版:Arcum Dagsson及び関連項目。





 

時を超えし逸品、アーカムの天測儀

話は《アーカムの天測儀》に戻る。
モダン用に新カードを投入するという目論見で生まれた『モダンホライゾン』。かつて『コールドスナップ』で定義された、氷雪タイプのパーマネントやそこから生み出される氷雪マナを活用するメカニズム。
それはあったのだ。氷河期を終え、キイェルドーがバルデュイアとの統一国、新アルガイヴとなった今もなお。測り続ける遺物があったのだ。

氷河期は去ったが、その遺物は今でも新アルガイヴで眠っている。

 

珍しく年号を書いたのは、これにより「《アーカムの天則儀》はこれだけ動いてたよ!」って示そうとしてのことだが、『モダンホライゾン』内で時代時代を探ることは叶わず意味がなかった。
《ウルザ》や《シッセイ》が平然といるので年代もなにもあったものではない。

性能的には氷雪マナの縛りとなったことで1マナとなった《予言のプリズム》、生贄に捧げない《彩色の宝珠》のような何か。《冷鉄の心臓》とは似ているようで全く似ていない。

見比べてみよう。​

《予言のプリズム》 《彩色の宝珠》 《アーカムの天則儀》

いずれも一長一短で・・・。そんなことはなかった。

1マナで出すだけで1ドローの実質手札損失なしのアーティファクト。それでいながら何度も使えるマナフィルター。冷静に考えて、過去のものたちよりもはるかに使い勝手が良くなっていたのだ。

特に、コモン限定構築となるパウパーでは、レアリティの関係上、《広漠なる辺現地》《進化する未開地》やタップイン2色土地程度しかなかったところに便利すぎるマナフィルターの出現で多色化に大きく貢献。貢献し過ぎて禁止となった。

レガシーでは、同じく『モダンホライゾン』で登場した《氷牙のコアトル》と、AC2019年から緑青に登場した《王冠泥棒、オーコ》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と共にパワーカードを詰め込んだ4色氷雪コントロールを成立。

《氷牙のコアトル》 《王冠泥棒、オーコ》 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》

余談だが、英語圏で呼称される氷雪オーコデッキなことからつけられた「Snowko(スノーコ)」というデッキ名はセンスあると思う。

《アーカムの天則儀》はコストに氷雪マナが必須とは言え、基本土地を氷雪に置き換えればそれで成り立つことから大きな問題にはならず、むしろ、《アーカムの天則儀》を有効活用すべく率先して氷雪基本土地が採用された。
エターナルを代表する最強の2色土地、デュアルランドよりも氷雪基本土地の方が採用枚数が多くなるという珍しい事態となっている。

MTGというゲームは、基本的にはデッキの多色化をすることで戦略の幅を広げるメリットと引き換えに、複数色のマナを生み出すべく投入する特殊地形へのアンチカード、代表例として《不毛の大地》や《血染めの月》で全く機能しなくなることが大きなリスクで、デメリットの1つとなる。しかし、アーティファクトである《アーカムの天則儀》のマナフィルターによりそれらを克服でき、そのマナフィルターもマナの総数は減らない単純な色替え、さらには1マナにして1ドロー。仮に破壊されたとしても損失は大きくない。ついでに鹿になる。
これらが組み合わさったことで、単純に「デッキの安定化を図る便利なアーティファクト」といった立場を大きく超えた逸品だったのである。





 

2020年7月13日 禁止制限告知

そんな中迎えた禁止制限告知。特にレガシーでの評判から禁止されるのではないかと噂されていた。

モダン
《アーカムの天測儀》禁止

モダンでは《王冠泥棒、オーコ》こそ禁止だが、同系統の緑青白、緑青黒の氷雪コントロールが成立、これらを総じて高い勝率となったことで禁止となった。

同記事でレガシーでも同様の理由から注視していると明言されており、これを実質死刑宣告と捉える人は少なくないようだ。(個人の感想)

デッキの安定化こそ大きく損なうことになったが、《氷牙のコアトル》は健在。デッキそのものへの死を断言するのは早いかもしれない。接死付与の条件は厳しいが、決して不可能な数字ではなく、いややっぱこいつおかしくね?

アーカム・ダクソンが生きていれば。モダン、レガシーの壊滅に責任を感じ、天則儀停止にその命を燃やしたに違いない。惜しい人を亡くした。

合掌





 

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フレイバーテキスト

  1. 氷河期って聞くとこれも甲鱗のワームの思し召しなのかもしれないと思ってしまう

  2. 「アーカムアサイラム」と言われるとすぐに脱獄してきそう

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