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1237枚目「劇場版:甲鱗のワーム vs巨大な戦慄大口」

甲鱗のワーム

Scaled Wurm / 甲鱗のワーム (7)(緑)
クリーチャー — ワーム(Wurm)

氷河期のあいだに繁栄を極めたこのワームは、キイェルドーのありとあらゆる人々にとって恐怖の的だった。その巨体と狂暴な性格が呼び起こした悪夢は数知れない ――― 甲鱗のワームはまさに、氷河期の災厄の象徴だった。
――― 「キイェルドー:氷の文明」
7/6

7/6





“現役最高”のプレイヤーとして戦場を蹂躙する―――いや、喰らい尽くすは《巨大な戦慄大口》。
地元じゃ負け知らず。強者を求めて故郷を離れる決意を固めた彼は、連戦に次ぐ連戦を経てこの地、多元宇宙の中心世界「ドミナリア」の門を叩いた。
《ターパン》、《ゴリラの酋長》、《年経たシルバーバック》、《ロウクス》、《タルモゴイフ》ら名だたる強豪を立て続けに屠り、登り詰めた挑戦者だ。

頂に座すは”史上最強”。玉座にとぐろ巻く《甲鱗のワーム》。
「恐怖の的」「数え知れない悪夢」「氷河期の災厄の象徴」「翼を捨てた覇龍」「BFMを真っ二つに引き裂いた」「鱗一枚で人間の住居の屋根が作れる」・・・。
彼をたたえる逸話は枚挙に暇がない。いずれも事実。伝説は衰えることなく、依然君臨する。

最強を目指したものと、最強であり続けたもの。両者が出会うのは運命。必然だったのかもしれない。

歴史に分岐点があるとするならば、この戦いは間違いなくその1つとして刻まれるだろう。

決勝:《甲鱗のワーム》(ドミナリア)vs《巨大な戦慄大口》(イクサラン)

ゲーム1

マリガンチェック。甲鱗は2枚の《冠雪の森》と共に《ラノワールのエルフ》の姿を確認すると即座にキープ宣言。後続さえ順当に引ければこれ以上のない手。満足そうな笑みを浮かべているが、眼光は鋭いままだ。
後攻の大口の方も、《ラノワールのエルフ》こそ引き込むことに成功した。だが土地は《根縛りの岩山》1枚のみと、苦々しくマリガンからのスタート。

先攻1ターン目から順当に《ラノワールのエルフ》、2ターン目も引き当てた《ラノワールのエルフ》をそのまま展開と、マナ増産体制に入る甲鱗。
後攻大口は、初手こそ躓いたものの2ターン目《大物群れの操り手》でそのマナを追う。

お互いにマナを伸ばしつつ膠着状態となったゲーム展開。先に牙を剥いたのは―――大口だった。
マナプールに加えたのは、わずか2マナ。強靭な肉体を以て食物連鎖の頂点に君臨した恐竜たちは、その体格を反映した重量級クリーチャー。
しかし中には。体格の劣るが故に群れ成して狩ることに長けた「無法者」が居たことを忘れてはならない。

続いて、またしても2枚の土地。加えて《大物群れの操り手》に手をかける大口。先ほどとは違う、事実上の4マナ。《切り裂き顎の猛竜》が《無法の猛竜》により激高しながら戦場へと姿を現した。マナサポートとドロー能力。恐竜デッキの背骨を支える構成が戦場に揃った。

甲鱗はこれを返すべくその解決策を探すべく《調和》をプレイして手札を整える。だが、大口は攻め手を緩めることはなく《レギサウルスの頭目》をプレイ。続いて、満を持しての登場となった《巨大なる戦慄大口》。頭目の指揮の下、速攻により全員で攻撃を仕掛ける。

トランプル
”無慈悲な五文字”が甲鱗を踏み潰した。

ゲーム2

サイドチェンジ。だが、その内容よりも甲鱗の悔しさににじむ表情が忘れられない。
数多の栄光を手にしていても。マッチ戦での1ゲームだったとしても。「敗北」に慣れることのない王蛇の姿。そこに今なお多くの畏敬と、恐怖が集まる。

再度先攻となった甲鱗は、《冠雪の森》から《極楽鳥》をプレイ。続く《ブランチウッドの鎧》で恐竜の頭上を攻め抜く姿勢を見せる。
だが、後攻。大口は《恐竜との融和》で《聖なる鋳造所》を探し当てると、次のターン、マナ基盤に赤緑白3色の準備を整えて《溶岩コイル》で《極楽鳥》焼き払う。

さらに、甲鱗が繰り出した《フィンドホーンの古老》からの《針刺ワーム》はサイドインした《イクサランの束縛》で追放。次ターンに《溶岩コイル》で《フィンドホーンの古老》にダメ押しすると、手札には《凶暴な踏み付け》を残す。
絶え間ない除去で障害は排除した。攻撃に転じるべく恐竜を引き込む、いや、喰らいつくすべく待ち受ける貪竜の姿がある。

土地を伸ばすだけの展開が続いた後に、動いたのは甲鱗。大口に一瞥しつつ「君を見ていると、昔の友人を思い出すね。」そう呟きプレイしたのは、6マナ6/6。
そして―――トランプル。《ヤヴィマヤのワーム》だ。

捕食者は狩り立てられた。《切り裂き顎の猛竜》《レギサウルスの頭目》と飛び出すも、《吹雪の乱闘》に屈する。
ブランチウッドの鎧》でさらに大きく育ったワーム。恐竜たちの死力を尽くした”おふざけ”に、ワームは首を回し、ふざげて恐竜の頭を食った。
原初の飢えは、満たされず。大口とデッキに融和がもたらされることはなかった。

ゲーム3

1-1となりもつれ込んだ最終戦。長きに渡る開催となった本大会も、残す1ゲームで頂点を決する。
たった、1ゲーム。勝者はすべてを手に。敗者は敗者としてのみ記憶に刻まれる。それまで勝ちを重ね続けているというのに。栄光は一人のために。ただ一人を決するための戦い。
だが私は思う。”だからこそ”なのだ。例え手にした勝ち星が無に帰そうとも。栄光へ挑み、掴み取ろうとした者たちがいる。故に。勝負の世界は滾り、美しいのだ。

本マッチ初の先攻となった大口は、1マリガンこそしたものの、ついに《》から《ラノワールのエルフ》着地に成功しターンを返す。
甲鱗の手に1マナの除去札はなくこれをスルー。だが負けじと《冠雪の森》に《繁茂》をエンチャント。

2ターン目《打ち壊すブロントドン》をプレイ。ゲーム序盤には充分な圧力となる3/4の体格でライフを削りつつ《繁茂》、そして先のゲームで脅威となった《ブランチウッドの鎧》を見据えた最前手と言える展開だろう。

甲鱗が最初に繰り出す脅威は《針刺ワーム》。大口は攻撃を《打ち壊すブロントドン》で受け止めると、生贄に捧げ《繁茂》を破壊、次いで《切り裂き顎の猛竜》をプレイ。
針刺ワーム》とのトレードを成立させ、1ドロー分のアドバンテージで優位に立つ。《大喰らいのワーム》には再度《切り裂き顎の猛竜》を充て、さらに手札面で有利なトレード。

―――ついに、戦場は8マナへと到達した。絶対王蛇、その象徴。《甲鱗のワーム》が姿を見せる。
大口もここで《巨大な戦慄大口》をプレイ。

決勝最終ゲーム。ここに来て戦場に並び立つ光景に、観客は冷めやらぬ興奮を抑えきれない。
しかし、大口は冷静に緑マナをタップ。《凶暴な踏み付け》で一瞬の会合に終止符を告げる。

甲鱗は、またしても8枚の土地に触れる。高らかに宣言したのは、2枚目の、《甲鱗のワーム》。


それを見届けた大口は天を仰ぎ、右手を甲鱗へと差し出した。
7/6。高度な戦略を突き詰めても、結局は巨大で執拗なワームを投入するのが適切な戦術となる。

《甲鱗のワーム》、グランプリ・ドミナリア2021優勝!





 

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フレイバーテキスト

  1. 素晴らしいマッチでした
    甲鱗様、しれっとカルドハイムのカード使ってるのはいいんですかね?

    • MTGの行く末を常に案じているお方
      最新の氷河期カードを見逃すはずもなく…

  2. ナイスカバレージ
    ヤヴィマヤのワームのタフネス間違ってるのも、いい意味でカバレージっぽい

  3. 甲麟様のサイドにちゃんと《氷河期》入ってて安心した

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