Chromatic Orrery / 彩色の宇宙儀 (7)
伝説のアーティファクト
あなたはマナを望む色のマナであるかのように支払ってもよい。
(T):(◇)(◇)(◇)(◇)(◇)を加える。
(5),(T):あなたがコントロールしているパーマネントの中の色1色につきカードを1枚引く。訪問者はそのデザインに驚くが、その着想を与えた異世界には気づかない。
彩色の宇宙儀は一体どこにあるのか。
《彩色の宇宙儀》
『基本セット2021』神話レアな伝説のアーティファクト。7マナと重いが、タップで無色5マナも出る上に、あらゆるマナコストを望む色であるかのように支払うことができるルール破壊能力を持つ。
さらに、5マナタップの起動型能力により、コントロールしているパーマネントの色につき1枚、最大5枚ものドローを実現する。5色デッキで最大限活用できる逸品となる。
この「望む色であるかのように」というテキストは少々癖がある。もちろん、カードや能力を普通にプレイする分には何ら問題はない。
しかし、「支払われた色マナを参照する能力」の場合は何ら意味を成さない。あくまで他の色マナでもその要求された色のように扱えるだけで、実際に支払っているのは本来の色マナ。
直近でいえば、『エルドレインの王権』での一徹。「同じ色のマナ3点以上」という満たすべく支払っても条件を満たすことはできない。色を変換する能力ではないのである。
《彩色の宇宙儀》のように色を無視してしまう能力は時折登場するので覚えておくように。
多元宇宙儀仮説
ところでこの《彩色の宇宙儀》は一体何なのかについて考えていきたい。
まず「宇宙儀」と訳された「Orrery」は、次元:地球では太陽を中心に天体の動きを再現する模型「太陽系儀」の事を指す。
《彩色の宇宙儀》は球体を中心に5色の球体の動きを観測できる構造が特徴的である。ここで重要なのは、惑星に当たる5色の球体がそれぞれ異なる色であること。
「黄」「緑」「赤」「薄い青」「濃い青」となっているが「黄」は「白」に、「濃い青」は「黒」だと位置づけると、次元:ミラディンを模した造形なのだと予想できる。
ミラディンは、5色のマナそれぞれを司る5つの太陽が照らす次元である。これは余談なのだが、当初は「白」「黒」「赤」「青」の4つ太陽だったのが『ミラディン』ブロックの物語最終局面で「緑」の太陽が誕生して均衡が取れたことから、少なくともそれ以降に製造されたことがわかる。
収録セットは『フィフスドーン/Fifth Dawn』、つまりは「5番目の夜明け」。 モダンマスターズでの再録に際しフレイバーテキストが追加されより分かりやすくなっている。 |
ここで疑問に思ったのがこの《彩色の宇宙儀》がどこに置かれているのか。
ヒントはイラストとフレイバーテキストしかない。
訪問者はそのデザインに驚くが、その着想を与えた異世界には気づかない。
まず否が応でも太陽に照らされ、異世界に言及していることからミラディン現地の物ではない。
次に前提として、このような複雑なアーティファクトを作成できる技術と、展示して訪問者が集うような学術的な組織がなければならない。それと、異世界の存在が一般的でないこともわかる。
候補として考えたのは次元:アラーラの断片の1つ、エスパー。
生命体の多くがエーテリウムという金属に肉体を置き換えているアーティファクトにありふれた世界。ここにはより高みに至ろうと技術研磨や研究に費やす「エーテル宣誓会」が存在する。
プレインズウォーカー・テゼレットも覚醒する前は「エーテル宣誓会」に所属していた。また、彼は新ファイレクシアとなったミラディンに工作員として潜入していたので、繋がりがあると言えばあるし、ないといえばない。
しかし、『コンフラックス』にて5つの異なる世界である断片が1つとなり、アラーラという1個の次元になった。つまりは「異世界がある」ことに気づいていると解釈できる。
次に考えたのは、次元:カラデシュである。
次元と次元の間にある「霊気」というエネルギーを活用し、高度なアーティファクト文明を築き上げた世界。工匠たちがその磨き上げた技術を披露する「発明博覧会」も開かれている。
最大都市ギラプールを中心部に据えた《ギラプールの宇宙儀》を創れるので技術水準は申し分ない。しかし、この《ギラプールの宇宙儀》を見てもわかる通り、カラデシュの工匠たちは針金細工を駆使した外観にも創作意欲を発揮する。《彩色の宇宙儀》はあまりにも硬派なのでカラデシュとも考えにくくなってしまう。
最後に、次元:ドミナリア。多元宇宙の中心部に位置付けられ、技術的にも問題はなく、アカデミーやギルドといった学問的な組織もある。正直なんでもあり過ぎるが故に断定ができない。困ったらドミナリアってことにしていいくらい。
・・・と、『基本セット2021』発売当初はここで止まっていたのだが、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』でさらに候補が増えることとなる。
次元:アルケヴィオスに存在する、5つの大学から成る魔法学院ストリクスヘイヴン。ここにはあらゆる次元から得た知識を所蔵する《大図書棟》という施設がある。この表現として、過去のインスタント・ソーサリーカードを収録したのが「ミスティカルアーカイブ」である。
そこにミラディンを照らす《青の太陽の頂点》が再録、《クアンドリクスの神童、ジモーン》が5つの太陽に想い馳せるフレイバーテキストが記された。
自然数学者にとって研究課題としてはあまりある素材で、《彩色の宇宙儀》が製造されていてもおかしくはない。
ただし、ストリクスヘイヴンは異世界の存在を認知している。訪問者は驚きこそすれど、気づいてしまっている。よって、候補の域を出ることができない。
まとめると、
・エスパーはアラーラになったので異世界を認識していると考える。現状どうなっているかが不明だが有力な候補。
・カラデシュは煌びやかな金属細工が見られないことから違う気がする。
・ドミナリアは何でもあり過ぎて何とも言えない。
・アルケヴィオス(ストリクスヘイヴン)が一番適しているが、フレイバーテキストの解釈次第。
100日後に完成する統率者 30日目
思いのほか長くなってびっくりしている。
記事中序盤で触れたとおり、《彩色の宇宙儀》は5色デッキかつ5色パーマネントを用いるデッキに適した色マナ無視能力とドロー能力を持ち、一気に5マナも生み出すマナファクト。2色呪文を多用する同デッキにおいて、5色すべてを問題なく扱えるようになるのはこれ以上ない利点となる。
しかし、印鑑10枚投入でマナファクト多すぎないか問題を考えていること、《先駆けるもの、ナヒリ》の奥義で踏み倒し先でもあるが、正直彼女を含めて採用は怪しくなってきている。最初から100日で終わるわけなんてなかったんだ。
フレイバーテキスト
現実世界での100日とは一言も言っていない
良記事