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1279枚目「神魂暗不灯」

脂火玉

Tallowisp / 脂火玉 (1)(白)
クリーチャー — スピリット(Spirit)
あなたがスピリット(Spirit)か秘儀(Arcane)呪文を唱えるたび、あなたは「あなたのライブラリーからエンチャント(クリーチャー)を持つオーラ(Aura)・カードを1枚探し、それを公開し、あなたの手札に加える。その後、ライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。


小さな蝋燭の芯にただ独り縛られたこの神は、仲間たちを戦へと向かわせた罪の中身を知らなかった。

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脂火玉と聞くと胃もたれする年齢になりつつある。





『神河謀反』アンコモン。同ブロック全体のテーマの1つであってスピリットと秘儀呪文のシナジー「スピリットクラフト」を形成する1枚。
「あなたがスピリットか秘儀呪文を唱えるたび」に誘発する能力を持つカード全般の俗称で、《脂火玉》のみならず多くのカードが登場。「獏」や「麒麟」のようにサイクルを形成するクリーチャーが作られ、《閃き牙》のように自力で手札に戻ってくるスピリットなどのスピリットクラフトをサポートする呪文や能力が多く登場した。

秘儀はインスタント・ソーサリーが持つサブタイプでこれ自体には何ら意味がない。
スピリットクラフトや連繋のように、他の呪文や能力で参照されて初めて意味を持つ。

これを意識するだけで自然にシナジーデッキを形成するわけだが、1つ前の『ミラディン』ブロックと比べずともカードパワーはそれほど高くなく、複数枚、複数回誘発させて初めて効力を発揮するカードばかりで全体的には芳しくない。

その中で数少ない真っ当にスピリットクラフトデッキとして機能させたのが《脂火玉》である。
だがその前に注意したいのは《脂火玉》のテキスト。改めて貼っておく。

『神河謀反』当時はまだオーラが制定される前でその文言が用いられておらず「エンチャント(クリーチャー)」と言う表記となっている。『基本セット 第9版』にてサブタイプ「オーラ」が制定され、エンチャント対象はテキストに表記されるようになった。(おまけに誤植でカードではなく呪文、サーチしたカードの公開が省かれている。)

これに伴い《脂火玉》もサーチ対象が「エンチャント(クリーチャー)を持つオーラカード」とテキスト変更。結果としてサーチ対象が狭まってしまうこととなった。​

かつての表記では条件が課された《不忠の糸》をサーチできたが、オーラとなった現在ではサーチ不可となった。

 

《脂火玉》の戦況に応じたオーラを探し出せるのは利便性が高く、純粋にスピリット、秘儀を手札枚数的に損失を無くすと見ることもできる。この着眼点から構築されたのが白黒【ゴーストダッド】である。

『ギルドパクト』にて《病に倒れたルサルカ》《オルゾヴァの幽霊議員》というスピリットの追加戦力を獲得したことで成立したアグロデッキ。
そこに《脂火玉》でサーチする《不眠の晒し台》などのオーラで妨害。さらに、サーチしたオーラを『神河謀反』ピッチスペル《輝く群れ》《不快な群れ》のコストに充てるというコントロール要素を合わせ持った完成度の高いデッキである。

さらに、今は亡きフォーマット:エクステンデッドでは《幻影のケンタウロス》へのオーラ供給を担う【ファントムメナス】を成立させる。

『ジャッジメント』に登場した「幻影」クリーチャーは+1/+1カウンター1個にダメージを置き換えてサイズ減少、カウンターを使い切ればタフネス0なので死亡するという、使い捨てなことと引き換えに高性能なクリーチャー群だった。
だがその実、1でもタフネスを上げられれば戦闘ダメージ軽減だけが残る戦闘無敵のバグが発生する側面を持つ

元より4マナ初期値5/3でプロテクション(黒)を有し除去耐性がある《幻影のケンタウロス》に、コモンなのにクソハンなオーラ《アルマジロの外套》を繋ぐのが《脂火玉》の大きな役割となる。《幻影のケンタウロス》がスピリットでシナジーの塊なのは今気づきました

間違いなく《脂火玉》こそがスピリットクラウトを最も活用したカードで、デッキを成立させた立役者だと言えるだろう。


スピリットクラフトは『神河』ブロックの日本、というよりも日本神話と戦国時代を足して2で割った世界観を形成するにあたり、万物に神が宿る「八百万の神々」、長く重宝した物品に神が宿る「付喪神」と言った日本古来、多神教の風習をいわゆる「God」ではなく「Kami」と称し、スピリットと解釈した表現である。


米国企業ウィザーズ社にとっては明らかに文化の大きな隔たりがある上に、世界的に見ても特殊過ぎる文化風習をなんとか知ろうと、MTGに落とし込もうとした姿勢が察せられ感服した思いである。

だが、スピリットのみに絞ってしまった狭い部族シナジー。さらには、それ単体では意味を持たず、神河でもなければ機能しないサブタイプ「秘儀」で設計したことから拡張性があるとは言えない。
スピリットと秘儀に加えて、連繋のように秘儀を機能させる、「転生」のようにスピリットに関する呪文や能力でスピリットクラフトを機能させるべく設計された関連カードがセット内の多く占められてしまったことが神河不人気の一因だったように思う。

そこで来たるはネオカミガワ。

サイバーでパンクに舞うネオンシティ。


果たしてスピリットの囁きを聞くことは叶うだろうか。





 

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  1. アイエエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?

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