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1117枚目「青春恐怖症 ~破壊され、再生できない人~」

暗黒の儀式

Dark Ritual / 暗黒の儀式 (黒)
インスタント
(黒)(黒)(黒)を加える。

ファイレクシアは虚空から生まれた。機械の父、偉大なるヨーグモスはその完成された形を予見なされた。かくして”偉大なる進化”が始まった。
――― ファイレクシアの聖句

暗黒の儀式である。





マジック:ザ・ギャザリング初版。いわゆるα、βに存在した、『1マナで3つの何かをする』サイクル、5ブーンズの一角で黒担当。1マナで瞬時に黒3マナを生み出す原初のマナ加速呪文である。
従来はここからさらに《暗黒の儀式》について掘り下げるところなのだが、今回の主題から外れていくので別の機会とする。
《暗黒の儀式》は黒の代名詞となる呪文として基本セットでは第5版まで再録されるとともに、各ブロックの第1セットにそれぞれの世界観にあったイラスト、フレイバーテキストで再録されていた。
その内、『ウルザズ・サーガ』版が発売当時を舞台とされる漫画「すべての人類を破壊する。それらは再生できない。」(以下、すべそれ)の第5巻付録として収録される。
 
 
Bitly

作・伊瀬勝良 絵・横田卓馬。既に第5巻、多くの読者を獲得しており、有名漫画と言って過言ではない存在だろう。
MTGブログである以上、当初から注目、熟読し宣伝するのが最も正しい所作ではある。
結論から言うと、私は全く読んでいない。正確に言うと、読めない。読んでいない以上、宣伝するのは相応しくない。だから、今まで当ブログでは全く触れてこなかったのである。

なので、読んだことのある漫画を通して宣伝しようと思う。
オナニーマスター黒沢」である。(以下、オナマス)

Bitly

作・伊瀬勝良 絵・横田卓馬。


主人公・黒沢翔は、他人と距離を置く中学生活を送っている。そんな彼には決して人には言えない日課がーーー性癖があった。それは、クラスメイトをオカズに女子トイレで自慰行為
だがそんなある日、いつものように日課を終えトイレから出てくるところを、女子生徒に目撃されてしまう。
その場はやり過ごすものの、月日は経って新学期。中学三年になった黒沢は、新しいクラスメイトの中にかつて自分を目撃した女子生徒、北原綾がいることを、そして、彼女が陰湿ないじめにあっていることを知る。


10年以上前の作品、それも有名にもほどがありネタバレを気にする必要があまりなさそうだが、読んだことがない人はぜひ読んで欲しいのでこの程度にしておく。タイトル通りの描写があるが、展開は想像のつかない、青春群像劇である。

元は、伊瀬勝良氏により投稿サイト「新都社」に連載されたweb小説で、それを横田卓馬氏が個人サイトで漫画化。傑作web漫画の代表的存在としてたびたび名を挙げられ、両氏の名を広く知らしめた代表作となる。

後に商業作家となったことで個人サイトこそ閉鎖されたが、原作小説の文庫版「キャッチャー・イン・ザ・トイレット」出版に伴い、ニコニコ静画にて無料公開され現在でも閲覧可能。
原作者公認の上で作成され、ニコニコ動画に投稿されたボイスドラマもそのまま残っている。

オナニーマスター黒沢 / 漫画/横田卓馬 原作/伊瀬勝良 おすすめ無料漫画

当時個人サイト時代の「オナマス」を一晩で読破したあの頃の私は、同種の青春作品を好んでいた。Web作品のみならず、深夜アニメ黄金期と重なったことで学生時代を舞台とする作品に、傑作に恵まれていた。

そんなある日。ある作品がきっかけに、私は学生時代が舞台となる青春物語は一切見れなくなってしまった。泣いたり、笑ったり、時々歌ったりするそのアニメは、あまりに輝かしく、眩しすぎた。欠けたものを埋めるかのように視聴していた作品の数々に対し、創作であるにもかかわらず、私は登場人物への嫉妬を超えて、物語への拒絶に至った。

私の青春は、五色だった。それはそれで楽しく、後悔はない。だが、もう一度同じ道をたどるかと問われれば、迷いが生じる。春を彩るには青一色で事足りてしまう事実は重く、そして、それはもう、決して取り戻せないものだと気づいてしまったのだろう。
もはや涼宮ハルヒに巻き込まれるキョンに自己投影することがなければ、あの日見た花の名前を知り、真実の涙を流すことも避けていくのだろう。

この症例に名前を付け、長く付き合うこととした。

それが、青春恐怖症。ユースフォビアだ。


ここで話を戻す。「オナマス」は思春期の暗部を主題としつつ、暗い個室の戸を開けた先を。世界の明るさを知ることの大事さを語った。

正直に述べると、結末にこそ違和感がある。あと事実上の最終話となる番外編には嫉妬しかない。だが、学力というある種のふるいにかけられる前の混濁とした人間模様を象る中学時代から、自分という存在を迷い探り踏み出す一歩となる高校入学にかけてを見事に描ききった。総じて見ると名作の評価には疑いの余地がない。

伊瀬勝良と横田卓馬。両氏は、上手すぎるのだ。
そのお二人が、あえて書くと、よりにもよってMTGを主題とする青春漫画を手掛けているのだ。耐えられるわけがない。
「オナマス」の作者なら書けてしまう。私の存在否定をあのお二人なら描けてしまう。
きっと「すべそれ」は名作だろう。付録のカード目当てに買ったとしても、それ以上の納得を与えてくれるだろう。
すでに、表紙の時点で美少女だ。私が知っているのはうんこちんちんが当たり前に飛び交うMTGだ。断じてあり得ないのだ。あり得てはならないのだ。たとえ創作であったとしても。
だから、私は読めないのだ。すでに破壊され、再生の術の無い私には、耐えられそうにないのだ。

そんな「すべそれ」第5巻。発売日はアマゾンでは2020年07月21日となっている。





 

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フレイバーテキスト

  1. 蘇生の絆撃ちますね
    対象管理人で

  2. わかりすぎてつらい

  3. 管理人強く生きて

  4. >ある作品がきっかけに
    すごく気になるので教えてほしい

    • 泣いたり、笑ったり、時々歌ったりするアニメ「TARI TARI」です
      良い作品です

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