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100日EDH

1213枚目「グルールの印章」

グルールの印鑑

Gruul Signet / グルールの印鑑 (2)
アーティファクト
(1),(T):(赤)(緑)を加える。

グルール領の境界線は明瞭である必要は無い。グルールの塗りたくられた血や鼻糞や泥は見間違いようがない。

グルールの印章は最初から最後まで変わらなった。「ぶっつぶせ!





『ギルドパクト』初出のコモン。ギルドのシンボルを象ったマナフィルターでありながら、無色1マナを有色2マナへの変換なのでマナ加速としても機能する優秀なアーティファクト。

2色の組み合わせ10組の各ギルドに存在し、《グルールの印鑑》は赤緑のギルド「グルール一族」に対応する。

「グルール一族」は文明を否定し思いのままに生きる者たちの集まり。組織構造すらも認めず、厳密にはギルドと当てはまることはできない。気の合う仲間たちが「部族」を成し、複数の部族それらすべてが「グルール一族」。
そして部族の中で最強の者が族長となり、族長の中でも最強の者が尊敬を集め、事実上のギルドマスターとして統率する。ただそれだけの集まりである。

『ラヴニカ』及び『ラヴニカへの回帰』、『ラヴニカの献身』で《ドムリ・ラーデ》に敗北するまではグルール最大の部族「炎樹族」を率いる《腹音鳴らし》がその座に君臨していた。

つまり、《グルールの印鑑》に描かれているのはグルールのシンボルではなく、「炎樹族」のシンボルなのである。

そんな《グルールの印鑑》だが、マナを増やすだけにターンを費やすよりもクリーチャー出してぶん殴った方が手っ取り早い赤緑。
殴れるマナクリ《ラノワールのエルフ》が優先的に採用され、稀に《腐れ蔦の外套》を纏った《極楽鳥》を見れる【グルールビート】に「印鑑」の入る余地は微塵もなかった。

これだけで話が終わってしまうので、「グルールの昔話」をしようと思う。『ギルドパクト』発売当初。当時通っていたカードショップにて仲間内でプレイしていたドローカルな印象論。メタゲームが成立する以前の牧歌的なマジックな話になるのを前置きとしたい。

グルール狂喜

焼いて、殴る。

攻撃を拒む壁を焼き払いつつ殴りつけ、戦場に審判が下されてもプレイヤーを焼き尽くすただそれだけの【ステロイド】。現在で言うところの【グルールアグロ】がそれにあたる。

火力呪文と最強のクリーチャー。赤と緑それぞれの強みを活かした初心者から上級者まで幅広く愛されるデッキで、シンプルな構成故に時代を超えて構築されるマジックの基本ともいうべき存在の1つである。

かつての私はデュエルマスター・切札勝舞が愛用していたのを真似たことから始まり、《ヤヴィマヤの火》で速攻《ブラストダーム》を叩きつけ、狂気に満ちた《野生の雑種犬》が《日を浴びるルートワラ》を《激発》、親和に呑まれた『ミラディン』でも《トロールの苦行者》や《マグマの噴流》で生き延びようと画策していた脳みそステロイダーであった。

『ラヴニカ』ブロックは2色を象徴する10のギルドが3セットに4:3:3に分けて登場する。赤緑は第2セット『ギルドパクト』である。
MTGからミラディンし、『ラヴニカ:ギルドの都』発売前後に復帰したステロイダー・少年僕にとってこれほど発売日を心待ちにしたことはない。

手始めに体験した『神河』ブロックはすごかった。《けちな贈り物》からどうあがいても《夜の星、黒瘴》が出てきやがるし、《梅澤の十手》は何度読んでも蓄積カウンターが2個乗るし、《真髄の針》は3000円を超えていた。
『ラヴニカ:ギルドの都』にも満足していた。セレズニアは純粋に強く良いデッキだった。ゴルガリは楽しかった。ボロスは二段攻撃。ディミーアはまだデッキじゃなかった。

この時点で手にしていた良い値がつきそうなカードは全部『ギルドパクト』に注いだ。みんな、ありがとう。

これもすべて《踏み鳴らされる地》の為に他ならない。

『ラヴニカ』ブロックの象徴。2つの土地タイプを合わせ持つ特殊地形・ショックランド。スタンダード史上最強格に位置する2色地形で登場した10種すべてが2000円以上、トップレアに君臨した。(当時神話レアはない。)(本当に全部だったかは怪しい。)

ステロイド、いわゆるアグロは初手からのクリーチャー展開、その後も一切のテンポロスは許されずアンタップインは何事にも代えられない最優先事項である。4枚入れない選択肢がない

先んじて仲間内に白黒《神無き祭殿》青赤《蒸気孔》とのトレードを確約した後、ブースターを開封するとーーー。

ショックランド、1枚も出なかった。

こんなことがあるのか、と。箱ではなくバラなのはある。それでも正確な数こそ覚えていないが、30とちょっとのほぼ1箱分開封したのは間違いない。0はないだろう。

目の前で開封作業をしていた面々は順当に引き当て、中でも1人はレアがグルールに偏ったことからすぐに【グルールビート】を構築していた。

悔恨、嫉妬、絶望をにじませ手元の《絶望の天使》を眺める。

禿げとるやないか。

翌日から私は狂った。喜びはない。来る日も来る日も少数ながら『ギルドパクト』の開封。《蒸気孔》は即売却。オルゾフを組もうとしている者に《絶望の天使》をブースターとトレード。

執念が実を結んでか、6パックで2枚の《踏み鳴らされる地》を引き当てるバランス調整もあった。

そうして4枚揃う頃には部族を成す仲間たち「グルール三大レア」も4枚ずつ揃い、私はやっとグルールになれたと狂喜したのだった。ドムリ、お前はかつての俺だったんだ。

965枚目「灯火三十六景 ドムリ・ラーデ」

前置きが非常に長くなったが、当時のグルールには語る上で欠かせない三大レアがあった。

まずは《炎樹族のシャーマン》

3マナ3/4という当時としては異常なマナレシオを持ち、起動型能力に1点ダメージを課す。
当時スタンダードでは今なお回され続ける《師範の占い独楽》が市販され毎ターンライブラリー操作しておもむろに1ドローする独楽回しが至る所で行われ、圧力としては申し分のないものだった。
(余談だが《独楽》は当時からゲーム遅延性能をいかんなく発揮。使っても使われても好ましくなくスタン落ち時に「二度と使うか」とすべて手放したが現在値段を直視できない程度に後悔している。)

効果はお互いに及ぶのでメリットとは言い切れないが、グルール側で起動するのは《怒りの穴蔵、スカルグ》程度。そもそも1点など気にせず殴りかかるデッキなので本当に微々たるデメリットである。

次に《喧騒の貧霊》

当時貴重な4マナ5/5。シンボルこそ厳しいがショックランドやダメージランドフル投入すれば4ターン目召喚は充分可能で、当然ながらマナクリがいればもっと早く出てくる巨体。
アップキープに1点を勝手に飛ばすがグルール側はそもそも1点など気にせず殴りかかるデッキなので本当に微々たるもので、デメリットどころかアグロならばメリットにすらなりえる。
なにより、グルールが有したキーワード能力「狂喜」の条件を満たすのに機能した。

狂喜n(このターン、対戦相手1人にダメージが与えられている場合、このクリーチャーはその上に+1/+1カウンターがn個置かれた状態で戦場に出る。)

狂喜を持つクリーチャーは総じて条件満たしてやっと実用範囲か、満たしてても微妙といった面々の中で唯一《瘡蓋族のやっかい者》だけが2マナ3/3トランプルという高パフォーマンス。デッキの主力となっていた。

518枚目「S M」

ダメージ能力以外には何も持たず、攻撃が通りにくいのも欠点だが《怒りの穴蔵、スカルグ》がトランプルを持たせるので解決できる。

とは言ってもいいことばかりでなく、1点は1点。先述した通り《スカルグ》を起動すると《炎樹族のシャーマン》で1点、元よりショックランドとダメージランドフル投入で土地からもダメージを負い、当時最強の火力呪文《黒焦げ》からも2点ダメージ。【グルールビート】は稀に《喧騒の貧霊》のダメージが止めになる程の自傷行為が発生していた。
また、軽量化が進んだことや《巨大ヒヨケムシ》の方が速攻戦略に優れていたことで《喧騒の貧霊》は他に比べて1つ下がった立ち位置となっていった。

最後はその《巨大ヒヨケムシ》である。

4マナ4/1速攻。タフネス1なのでおまけ程度にしかならないがトランプル。そして「呪文や能力の対象にならない」現在で言うところの「被覆」。
パワー1と相打ちする上に先制攻撃には無力と化すが、アグロ全般のアンチカード《神の怒り》を放たれても無人の戦場を速攻パワー4が突っ込み、しかもその《神の怒り》でもなければ破壊しにくい対コントロール性能の高さ。混色マナを活かして【グルールビート】でなくとも赤いアグロに出張した超攻撃性能を誇った。

「巨大ヒヨケムシ」でぐぐってもリアルヒヨケムシが画像検索されるので気を付けましょう。


2021年からは弱く見えるだろう。だが【グルールビート】はトップメタにし続ける環境を代表するデッキの1つとなり、いずれも最盛期は1500円から2000円いくかいかないかくらいの高値。ショックランドと含めて高額デッキと化していた要因である。

そんな、《憎悪の種、ウラシュト》が出てこないことを祈りながら開封した日々を思い起こした。

100日後に完成する統率者 22日目

1172枚目「100日後に完成する統率者」

印鑑サイクルは優秀なマナファクトととして統率者戦において広く採用されるカード群のようだ。多色統率者ならば色の合う印鑑をとりあえず採用しておいて何一つ不便はない。

《グルールの印鑑》は『統率者2016』にて新規イラストが登場。それ以降の再録を重ねている。

例によって採用するのは『ギルドパクト』版となるただ、使ったことないし今でも有効活用できる気は

 

「食うぞ!」





 

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  1. 文字の大きさを元に戻された?或いは前より小さくなったのかな?いずれにしても個人的にはこの大きさのほうが読みやすくて良いですね!
    後はコメント欄のいいねが押しても反映されない不具合がなんとかなれば…

    • 文字の大きさとかその辺の感覚さっぱりわからないので感想コメント本当に助かります・・・(ブログ運営歴もうじき7年)

  2. 密林の猿人or炎の印章→瘡蓋族のやっかい者→炎樹族のシャーマン→巨大ヒヨケムシ
    この動き、何もかもが懐かしい……
    シャーマンとかヒヨケムシがギルドキットに再録されてたのが安くてついつい買ってしまった。

    • グルール黄金期ですよね…
      当時のデッキ残してますわ

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