Niko Aris / ニコ・アリス (X)(白)(青)(青)
伝説のプレインズウォーカー — ニコ(Niko)
ニコ・アリスが戦場に出たとき、破片(Shard)トークンX個を生成する。(それらは「(2),このエンチャントを生け贄に捧げる:占術1を行い、その後カード1枚を引く。」を持つエンチャントである。)
[+1]:あなたがコントロールしているクリーチャー最大1体を対象とする。このターン、それはブロックされない。このターン、そのクリーチャーがダメージを与えるたび、それをオーナーの手札に戻す。
[-1]:タップ状態のクリーチャー1体を対象とする。ニコ・アリスはそれに、このターンにあなたが引いたカード1枚につき2点のダメージを与える。
[-1]:破片トークン1つを生成する。3
ニコ・アリスの探究。
次元:テーロスに生まれた神託を授かりし若者は、類まれなる槍の才能に運命を選ばれていた。決して外さぬ名手となる将来を約束され、その妙技を見る周囲はおろか、さらには『運命』そのものを司る神ですら決して疑う余地はなく。
ただ一人、若者自身を除いて。定められた命に疑念を抱き、選手としての誇りを踏みにじる故意の敗北。運命の神への反抗。その若者は『自ら歩む英雄への道筋』こそが、真に担うべき運命だと定めた。
『英雄』を思い馳せる夢こそが。若者のーーーニコ・アリスの始まりだった。
シュタルンハイムにニコの銀髪がそよぐ。
次元:カルドハイム。運命を切り開いた報酬、プレインズウォーカーへの覚醒は、ニコを異世界へと導いた。
10なる小世界とそれを繋ぐ騒乱を経て、ニコは善悪を超えた英雄像と、実際にそれを成した英雄と会合した。
プレインズウォーカー・ケイヤである。怪物を追う彼女ではあったが、その過程で簒奪神の策略を暴き、宝剣を在るべき神へと導き、伝説に名高いデーモンをも下した。
彼女と共にいた青年が言っていたように、『ケイヤの英雄譚』はこの地で謡い継がれるだろう。
ニコは自分と同じく次元渡りの力を持つ彼女に興味を抱き、いくつかの話を聞きだした。多元宇宙は広大で、少なくない数のプレインズウォーカーを。大いなる悪と、それを打ち砕く善の、思い描いた英雄譚を知った。
ニコはまだ知る必要があった。この地で、カルドハイムで見知ったように、多元宇宙で。
まだ見ぬ英雄たちこそ、自らの道筋を照らす光だと確信した。
ニコが両手を広げると、銀の欠片が鋭く尖った鏡を成し、青い輝きが覆う。
得物とする槍へと形状を伸ばしたそれを一本造り上げると、両手で掴み、目を閉じる。
この槍は、武器にして武器にあらず。標的を穿ち消し去ることこそ可能とするが、それと同時に鏡の中へと封じ込める機能を有していた。敵を封じ込めて戦力を削ぎ、尋問すべく捕縛する牢獄。または、味方を封じることで脅威から守る回避手段、敵の背後から出現させ奇襲を成す城塞。攻防共に汎用性の高い創造性を持つ、ニコ特有の魔法である。
・・・次元渡りの要領で開く狭間に槍を投げ込み、英雄を一時的に連れ出す。
彼、あるいは彼女らとの対話をより多く重ねるための、効率的な手段に思えた。
外界への影響を、簡単な問答以外一切拒絶する超次元的空間を宿すこの鏡は、ニコが望む多元宇宙を映し出す『魔法の鏡』になり得た。
果たして本当に可能なのか?いや、問題なく成すだろう。ニコの槍は”決して狙いを外さない”
『鏡は現実を映すだけではない。現実を作るのだ。』
習熟した競技者であるニコにとっても、経験したことのない一投。
だが緊張を抱くことも意を決することもなく、槍は投げられ・・・ほどなく空中から一本の槍が降り注いだ。雪上にそびえ立った槍は果たして英雄を宿しているのだろうか。
ニコが鏡面に映る自らの顔の先を垣間見ようとしたその時。
「あまり褒められた誘い方ではありませんね」
背後から朗らかな笑顔で声を掛けられた。
大きな杖つく男性。足腰を支えるというよりも、明らかに魔法へ用いる意匠が感じられた。
かと言って、彼の実年齢は老年を優に超えて数える。それでいて今もって全盛期に等しい。
ニコはまだ片鱗すら知る由もないが、紛れもなく世界を救った『伝説の英雄』がそこに在った。
「私は、メレティスのーーー」
「ニコさん、でよろしいかな。メレティスはテーロスの地名だね。それで、プレインズウォーカーになって間もない君は知古を求めてこのように蛮行に及んだと」
言葉とは裏腹にテフェリーは責め立てる意思を微塵も見せず応対した。
「私の思考が読めるんですか?」困惑するニコに対してテフェリーは語る。
「精神魔法は友人の専門分野だね。なに、私の魔法をちゃんと理解したければ何年もかけて学ぶ必要もあるが、手短に言えば、私たちはすでに問答を終えているということだ」
それにしても、とテフェリーはさらに続ける。
「君は興味のない話になるとすぐに態度に出てしまう。まったく、悪い生徒というわけだ」
ニコが最も興味を抱いた事柄をテフェリーは語った。
「大昔になるが君と同じように、対話を求めて私を呼び出した者が居てね」
それは、次元:ドミナリアに顕現した大災害”スカージ”の物語。
世界そのものへと成りつつある超然とした亜神が『自らと対等な存在』を求めた。
マナを司る五つの色からなる「門」を用いた、それぞれに相応しき人物との会合を。
テフェリーはかつて『神に等しき存在』として召喚されたのだった。
事実、当時の彼はそれになり得るほどの力を有していた。
会談を経て。亜神は望んだ存在こそ得られなかったが、自身の在り方をーーー『望まれぬ神』という形ではあるが学び取ったという。
「つまり、同じように『英雄との対話』を求めれ続ければ私にも答えが得られると?」
テフェリーは、ニコの目が好奇を写したと見ると、一言残して去っていった。
「礼はいりませんよ。私も、先生には恵まれていたのでね」
テフェリーは白。残るは青黒赤緑。運命を司った赤緑は後に回すこととし、まずは黒の英雄を望んだ。
手際よく鏡の槍は仕立てられ、間もなく空へ放たれる。
死を、破壊を、畏れを、悪を司る黒。テーロスにおいても冥府を統べし神・エレボスが定める不吉な影を覗かせる。
悪逆なる殺人王すら英雄視する、黒き英雄とは果たしてーーー
「何だってんだ!クソバカ野郎が!」
※今回はskeb納品物です。リクエストありがとうございました。
※本記事は「マジックザギャザリング」公式サイト掲載のMagicStory:カルドハイムのメインストーリー第5話以降を妄想し、設定等大きく改変した二次創作です。鏡の槍が次元を超えるのはかなり無茶だと思います。
参考文献
・『カルドハイム』サイドストーリー
・『カルドハイム』メインストーリー第5話
フレイバーテキスト
ジェイスくんやるときはやる奴だけど普段はギルパク職権濫用して高級レストランで食事したりとか結構小悪党よね
正義の味方って程じゃないこすい人間臭さが好き