Lutri, the Spellchaser / 呪文追い、ルーツリー (1)(青/赤)(青/赤)
伝説のクリーチャー — エレメンタル(Elemental) カワウソ(Otter)
相棒 ― あなたの開始時のデッキに入っている土地でない各カードが、それぞれ異なる名前を持っていること。(このカードがあなたの選んだ相棒であるなら、あなたは1回のみゲームの外部からこれを唱えてもよい。)
瞬速
呪文追い、ルーツリーが戦場に出たとき、あなたがこれを唱えていた場合、あなたがコントロールしていてインスタントかソーサリーである呪文1つを対象とし、それをコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。3/2
呪文追い、ルーツリーとは相棒である。
青赤の混色3マナ3/2瞬速という本当にいつでも出せる戦闘能力に加え、唱えていた場合、自分のインスタントかソーサリーをコピーすることができる。
これだけではデッキを構築される強さがあるか悩むところだが、同セットで登場した「相棒」。
相棒!
条件を満たしたデッキならば1度だけゲーム外から呼び出すことができる能力である。
イコリアでは10種類もの2色の混色クリーチャーとして登場している。
ゲーム開始時から1度は唱える機会が常にあることから、実質的に手札が1枚多いことになる。
それでいて、デッキの軸になり得る強力な能力を併せ持っていたり、そもそもがいつでも用意できるクリーチャーという観点だけでも採用され、MTGを新たな段階へとバージョンアップさせたとして常に話題の中心となっている。
フレイバー面の話をする。
イコリアは人類の脅威となる怪物の次元である。圧倒的な戦闘能力を持つ捕食者と、怪物と対峙し生存権を確保し続けなければならない人間は相容れることはない。
だが、時として。人間と怪物の間に神秘的な繋がりが生じることがあり、友情や親愛を超えた魂の絆が結ばれる。
この絆を見出した人間は「眷者」と称される。しかし、人間社会はいかなる事情においても怪物との関係を禁じており、「眷者」となったものは絆を諦めるか、故郷から追放されるかの選択を迫られることになる。
(「眷者」になり人生が変わってしまった《銅纏いののけ者、ルーカ》の物語日本語ダイジェスト版が連載中なので読もう。)
要は「相棒」という能力は、「眷者」をカードとして表現したもので、その点に関してはよくできているのである。
相棒・・・?
《夢の巣のルールス》《空を放浪するヨーリオン》を筆頭に、相棒たちはあらゆる環境に採用された。
ヴィンテージでは《夢の巣のルールス》が禁止、レガシーでは彼女に加えて《黎明起こしザーダ》が禁止となったのは記憶に新しい。
この時の禁止制限告知において、今後の状況次第では「相棒メカニズム」そのものを機能変更すると言及。
そして、6月1日にスタンダード、ヒストリックの何らかの禁止と同時に「相棒」についても何かが起こると予告されたのだった。
内容は全く不明。あまりの相棒っぷりにゲーム開始時に手札1枚減らすなど、何らかの制約が課されるのではないかと様々な推測が飛び交っているのが現状である。
「相棒」へのてこ入れされる以上、禁止になるとは考え難い。
だが少なくとも。今まで同じように使用できるものとも考えにくい。
もはや、相棒デッキは風前の灯火である。盛者必衰。兵どもが夢の跡。
相棒・・・
《呪文追い、ルーツリー》の相棒条件は、「あなたの開始時のデッキに入っている土地でない各カードが、それぞれ異なる名前を持っていること。」
土地以外デッキ1枚制限。いわゆるシングルトン、ハイランダー構築となる。
この関係で、ルールとしてハイランダー構築となる統率者戦、ブロールでは発売と同時に禁止。
記事内の解説によると、これは開発時から想定されており、それ以上に面白さをもたらすカードとの判断による特別措置であるとのこと。
《呪文追い、ルーツリー》
インスタントタイミングで唱えられることができる「瞬速」、唱えて戦場に出した場合の「インスタント、ソーサリーのコピー」を併せ持つ。
古くは《Fork》、《双つ術》といった2マナのコピー呪文に1マナ足したら3/2ついてくる。こう書くと結構なトンデモである。
そして、「相棒」。条件を満たせばいつでも好きな呪文をコピーできる権利を有することになる。
強力な呪文をコピーしゲームを決したいところだが、相棒の条件は「土地以外1枚制限」。特定のカードに焦点を当てるにはあまりにも厳しい。
歴史に残る名だたるパワーカードが制限として1枚許されるヴィンテージとは異なり、カードプールの狭いスタンダードではなおのことである。さらに言えば、ルーツリー自身の+3マナもやや重い。
幸いなことに近現代スタンダードの呪文は、特定のカードのみが使用されることを避け、相互互換となる選択肢を用意。プレイヤーに裁量が委ねられている。
例えば、2マナ火力。
《ヤヤの挨拶》 | 《チャンドラの勝利》 | 《焦熱の竜火》 | 《火の予言》 |
上記はいずれもクリーチャーに通る2マナ3点インスタント火力である。
これに加えて2点振り分け《チャンドラの螺旋炎》に、出来事で2点インスタントを持つ《砕骨の巨人》、4点ソーサリー《溶岩コイル》まである。
この状況はすべて《稲妻の一撃》の尊い犠牲の上に成り立っているのだが、このおかげで《呪文追い、ルーツリー》構築が現実的となっているのである。
打ち消し呪文も同様に《否認》《本質の散乱》からなるタイプ指定の基本カウンターに加えて、序盤に強い《火消し》、中盤以降に強い《軽蔑的な一撃》、変わり種で単体を守る《安全維持》、赤緑対策《霊気の疾風》、青対策《神秘の論争》・・・。
ほら、だんだん見えてきただろう。
これが、最もまともなルーツリー・・・
フラッシュルーツリー
リストが見えない。
ワイルドカード不足で《急流の崖》に頼っていることには目を瞑ってほしい。
以前から組んでいた青赤キマイラと基本的には同じだが、《轟音のクラリオン》《時を解すもの、テフェリー》のためだけに白に触れている。
1枚制限によりとても不安定なため、より強力な延命措置を欲したのである。
呪文に関してはスタンダードに存在する軽量の火力、打ち消し呪文をかき集めただけと言っても過言ではないのでクリーチャーのみの言及に止める。
というか、とんでもない長さになるので許してほしい。
クリーチャー
・・・そう。《呪文追い、ルーツリー》はただコピーするだけではない。
お気づきの通り、ルーツリーはエレメンタル・カワウソで、瞬速!!!!!!
相手ターンに出せる変容元として機能するのである!!!
お気持ち
例によってメタは考慮していない。環境上位相手にはよほどかみ合わなければゲームにならず、相棒に《夢の巣のルールス》が見えたらライフマイナス10とし、猫かまど成立と《創案の火》《荒野の再生》が見えたらマイナス20で投了ボタンにカーソルを合わせよう。
しかし、毎試合異なる展開に、ルーツリー自身の柔軟性から意外な展開が見えるとても味わい深いデッキとなり、非常に満足している。
また同系デッキの例にもれずインスタント、瞬速の強みを消し去る《時を解す者、テフェリー》は致命的な存在である。
だがそれ以上に
《終わりなき巣網のアラスタ》は本当に洒落になってなかった。
次は勝てる気がしない
つづく
フレイバーテキスト
すき
素晴らしいジョニーっぷりで羨ましい限りです
高いランダム性(と安いWC)の理由で自分はブロールで専ら遊んでます