Counterspell / 対抗呪文 (青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
対抗呪文とは青である。
『リミテッドエディション』(α、β)初出のアンコモン。「プレイヤーが唱える呪文同士の戦い」を象るマジック・ザ:ギャザリングの特徴を表す「呪文そのものを消す呪文」。非常に名高く、長きにわたり再録され、イラストも多く描かれた人気カードである。
確実に1:1交換を成立させるだけでカードアドバンテージを得ているわけではなく、その場その場で後先考えずに打ち消すだけでは何ら脅威とならない。より重く、より重要なカードを見極めて打ち消すことで初めてその強さが発揮されるのが《対抗呪文》である。
とは言っても対戦相手からしたら知ったことではない。あらゆる行動を対処する脅威からアンタップ状態の《島》2枚だけでも牽制となった忌み嫌われたカードでもある。
今回は『モダンホライゾン2』での再録決定。即ち、モダンでの解禁が確定したことにちなみ、歴代のイラストを振り返っていこうと思う。
『第6版』で廃止されるまでは「インタラプト」という呪文のプレイに対してのみ使用できるカードタイプだったが、ここでインタラプトの説明をしてもしょうがないので打ち消すこととする。
【プレビュー】そして皆さま、大変長らくお待たせいたしました……『モダンホライゾン2』の既存カードモダン追加ラインアップ、そのうちの一枚としてこのたび《対抗呪文》を再録いたします!そう、あの「カンスペ」がモダンで使用できるようになるんです!#mtgjp #MTGMH2 pic.twitter.com/XnFc30pgaJ
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) May 6, 2021
『リミテッドエディション』(α、β)~『第4版』
世界初のトレーディングカードゲームの、一番最初の商品。つまりは、「打ち消す」という行動の始祖となるカード。
基本セットでは『第4版』まで同一のイラストで再録され続けた。日本語版発売は『第4版』からなのでぎりぎり日本語版が存在。当時は「その言語での初出は黒枠」というルールがあり、再販分が白枠となっていたが、流通量の関係で黒枠の方が多く、白枠の方が珍しくなっている。
2005年にはフライデーナイトマジックのプロモカードとして登場。新枠かつFOILであると同時に、後述する『テンペスト』版のフレイバーテキストが追記されている。
DCIレジェンドメンバーシップ/ジャッジ報奨
ウィザーズ社の公式競技機関「DCI」にてかつて存在した有料会員に特典として配布されたプロモカード。後に大会運営に寄与する公認ジャッジへの報奨カードにも同じイラストで配布された。打ち消すというよりも回避している。
見る機会が一番少ないであろう非常にレアな存在。
『アイスエイジ』
決闘はますますわたしに不利となり、ズアーは、わたしはもはや終わりだと見切ったのか、彼はわたしの魂を喰らうこともできるなどと誇ったのです……ですがその実、喰っていたのは言葉だけだったのです。
――― キイェルドーの王室魔道師、グスザ・エバスドッター
whisperより引用
基本カードらしく拡張セットへの再録と、新規イラストが描かれた一環。膨大な打ち消し呪文で行動を否定し、《Kjeldoran Outpost》の生成するトークンで勝つ【カウンターポスト】の時代。
ドミナリア氷河期末期の王国「キイェルドー」に属する最高位の青魔道士グスタ・エバスドッターの姿と言葉が記されている。
(かつてはグスザ・エバスドッターと訳されていたが、『コールドスナップ』以降グスタ・エバスドッターとなっている。)
彼女は他にも《渦まく知識》や《水流破》といった青のカードにフレイバーテキストを残していながらカード化はされていない。それこそ《ズアー》のように今後なんらかの特殊セットでカード化される可能性はあるのでもしされたら「ああ、アイスエイジ版《対抗呪文》の人ね」とドヤれるようにしておこう。
構築済み商品『ビートダウンギフトボックス』に再録され、白枠かつフレイバーテキストがないすっきりとした仕様となる。
『第5版』『第6版』
「青ならとりあえず《対抗呪文》4枚」なほどに高い需要からかこれよりコモンでの収録となる。
個人的な話となるが一番最初に目にした《対抗呪文》。大真面目に《甲鱗のワーム》を打ち消され、返しに《大気の精霊》を出された経験により青の強さを、「テンポアドバンテージ」の概念を学び取り、《シー・モンスター》と共にデッキへ投入、青緑へと移行していくこととなった。
大人気漫画「すべての人類を破壊する。それらは再生できない。」第7巻の付録に新枠かつFOILで登場したことが記憶に新しい。
『テンペスト』
基本カードらしく拡張セットへの再録と、新規イラストが描かれた一環。《サファイアの大メダル》を主軸にした青単【メダリオンブルー】でコスト軽減関係なく問答無用の4枚投入されていた時代。
物語の中心人物たちであるウェザーライト一行に加わる魔術師《熟達の魔術師、アーテイ》による皮肉めいたフレイバーテキストで有名な1枚。煽り性能が非常に高く音読には注意がいる。
『メルカディアンマスクス』
基本カードらしく拡張セットへの再録と、新規イラストが描かれた一環。【カウンターレベル】や【青茶単】といった青最強伝説を支えていた時代。
特筆すべきは光沢加工された特殊カード、通称:FOILだろう。通常セットでは『ウルザズ・レガシー』からの収録なので《対抗呪文》はこの『メルカディアンマスクス』が初となる。
『第7版』
今なお語り継がれるスタンダード有数の強力デッキ【サイカトグ】の時代。
基本セットではこの収録を最後にスタンダードから外れ、《マナ漏出》にその座を渡す。『時のらせん』にて後継となる3マナ《取り消し》の登場以降、2マナカウンターは《否認》や《霊魂放逐》《本質の散乱》といったカードタイプ指定を基本とし、セットの特徴となるメカニズムが付加された打ち消し呪文をデッキや環境に応じて採用する方向にデザインされている。
後に制定されるモダンの範囲からも外れ、レガシーやヴィンテージといったエターナル環境のみで使用可能。そこでは《意志の力》や《マナ吸収》のようなより強力な打ち消し呪文や、《呪文貫き》《呪文嵌め》といった軽量な限定カウンターが優先され、居場所がなくなっていく時代となる。
ジェイス
構築済み商品「デュエルデッキ」のジェイスvsチャンドラで登場したジェイス版《対抗呪文》。憤怒で猛攻を仕掛ける紅蓮術師とはチャンドラに他ならない。二人の出会いは敵対関係である。
後にプレインズウォーカー1人に着目した「Signature Spellbook」シリーズのジェイスにも特殊枠で再録される。
ジェイスが好きならこのイラストで統一するといいだろう。
『アモンケット』Masterpiece Series
『アモンケット』に極低確率で封入される古代呪文の1つ。かつて解読に挑んだが・・・。
マスターズ/統率者レジェンズ
再録カードで構成される「マスターズ」シリーズの内、エターナル環境向けの『エターナルマスターズ』に新規イラストで再録。
さらに、MTG25周年を記念する『マスターズ25th』にも再録。このセットの収録カードは初出セットのエキスパンションシンボルが透かしが入っており、《対抗呪文》は基本セット初出なので「M」となっている。
そして、統率者戦向けの特殊セット『統率者レジェンズ』にもこのイラストで再録。特筆すべきは拡張アート版が登場したことだろう。
『ストリクスヘイヴン』ミスティカルアーカイブ
あらゆる次元の呪文を所蔵する『ストリクスヘイヴン』。その一端が特殊仕様で登場した。全言語版と日本語限定の日本画版の2種類。
MTGアリーナに実装された唯一の《対抗呪文》だが、ヒストリック禁止なので使用することはできない。
『モダンホライゾン2』
《対抗呪文》待望論はスタンダードでも語られるほどの根強い派閥。しかしスタン落ち以降、様々な後継となる打ち消し呪文、特に条件次第で《対抗呪文》そのものとなる《魔術師の反駁》《シルムガルの嘲笑》、テンポロスと引き換えにした《剥奪》《使い魔の策略》など数多の下位互換を生み出すことになるため、モダンにおいても厳しいのではないかとされていた。
だが、『モダンホライゾン2』である。スタンダードを経ずにモダンへと直接投入されるセットである。つまりはモダンでの解禁を意味する。
フェッチランドの存在で多色優位となる中で青のダブルシンボルは充分デメリットになり得ること。即死コンボを搭載する【ヘリオッドカンパニー】【スケープシフト】、圧倒的な速度を誇る果敢系統などが蠢く魔境とも表現されるモダンならばいいのではないかといった判断だろうか。かつてコントロール復権に向けて一石を投じた《神ジェイス》モダン解禁と似たような思惑を感じる。
ただのインフレとなるか。モダンの速度を緩める良再録となるか。
ついでにヒストリックで解禁されたら怒ります。
フレイバーテキスト
ヒストリックブロールの記事も期待しております
申し訳ない!イベント報酬に釣られてブロールの延長に触れた程度で記事にできるほどやってないですねえ!