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1283枚目「ある記録 2ページ目」

柳の霊

Willow Geist / 柳の霊 (緑)
クリーチャー — ツリーフォーク(Treefolk) スピリット(Spirit)
トランプル
1枚以上のカードがあなたの墓地を離れるたび、柳の霊の上に+1/+1カウンター1個を置く。
柳の霊が死亡したとき、あなたはこれのパワーに等しい点数のライフを得る。


樹の下で死ねば、樹の一部が目覚める。
1/1

柳の霊とは一部だけ目覚めたことで奇怪な姿になってしまった。





前回に引き続き、スタンダードで組んだデッキの話を記していく。

『イニストラード:真夜中の狩り』にて一瞬で4枚揃ったレアクリーチャーがこの《柳の霊》だった。1マナ1/1にしてトランプルと、死亡時にパワー分のライフ回復なる不可解な設計。
これもすべて自己強化能力に込められたデッキ構築への刺激である。

1枚以上のカードがあなたの墓地を離れるたび、柳の霊の上に+1/+1カウンター1個を置く。

墓地から追放ではなく離れるたび。つまりは墓地から手札、戦場に戻しても+1/+1カウンターを獲得する。緑は墓地回収を得意とする色なことから、通常の墓地利用デッキよりも発展させた構築が可能である。

それと引き換えに。というか結構致命的なのが「1枚以上の」という表記。離れたのが1枚だろうが2枚だろうが60枚だろうが2000枚だろうが1個ずつしか獲得ができない。
一気に切削し、一度にまとめて追放するコンボを用いても効果が薄いにもほどがあり、繰り返し利用可能なカードがなければまるで機能しない。

墓地及びそこへ葬られた死体や霊魂の怪異を表現するイニストラード。率先して切削し墓地を肥やすのは容易である。しかし継続的に墓地追放する便利なパーマネントがあれば墓地利用デッキは成立しない。
カード回収ともなればカードアドバンテージの概念は崩壊する。スタンダードにあっていいはずがない。

・・・崩壊させる人物がいた。

前座:リーア

発端は世界選手権21。『イニストラード:真夜中の狩り』実装2週間後の開催で、トッププロたちが見せたスタンダードへの解答。そこで《溺神の信奉者、リーア》の使い道が示されていた。消えゆく希望》を筆頭とした優良1~2マナ呪文を詰め込み、リーアによるフラッシュバックで実質手札を大きく水増しする【グリクシス天啓】である。

MTGアリーナにおいて出場選手のデッキをプレイ可能なイベントが催された。このイベントを通しデッキを試用する中で気づかされたリーアデッキの「軽量呪文のフラッシュバック連打」。墓地追放の挙動が《柳の霊》と繋がったわけである。

※『真紅の契り』実装後リスト。イカとカエル混入は見なかったことに。

《消えゆく希望》に加え、緑の優良1マナ呪文《蛇皮のヴェール》《吹雪の乱闘》を採用。
インスタント・ソーサリー連打の着眼点から、緑の魔技《龍護りの精鋭》を打点に加える。
プレイ回数を稼げる《ゼロ除算》の履修・講義と、緑の特色である墓地回収《バーラ・ゲドの復活》による墓地離れ誘発を導入。
同じく墓地離れを起こす降霊を考慮するも、主にコスト面での問題から《心悪しき隠遁者》以外実用に耐える存在はなかった。

実践してみた所、《吹雪の乱闘》でブロッカーをどかし、膨れ上がった《龍護りの精鋭》を通す。普通に【青緑魔技】となっていた。

おおよそこのような速攻が決まって初めて勝利を掴むデッキであり、《柳の霊》を《リーア》で育てるには必要カードとマナが多すぎた。
《龍護りの精鋭》もトランプルがないがためにブロッカーに幾度となく食い止められ、《吹雪の乱闘》なるカードがひたすらに強いことだけを気づかされる。

連敗に連敗を重ね気がつけば『真紅の契り』まで埋もれたデッキ。このまま削除の時を待つかと思っていたところ、今度はこちらのセットで一瞬に揃ったレアクリーチャーが巣食うこととなった。

2.グロルナク

デッキリスト

デッキ
4 柳の霊 (MID) 207
4 闇孔の小道 (KHM) 254
4 根囲い (VOW) 210
4 冠雪の森 (KHM) 284
2 ハイドラの巣 (AFR) 259
1 大スライム、スローグルク (MID) 242
2 ドラコリッチ、エボンデス (AFR) 100
3 風変わりな農夫 (MID) 185
2 心悪しき隠遁者 (MID) 61
2 雪上の血痕 (KHM) 79
2 年経枝指 (MID) 234
2 バーラ・ゲドの復活 (ZNR) 180
2 恐怖のドールハウス (VOW) 255
1 樹皮路の小道 (KHM) 251
1 レンと七番 (MID) 208
7 冠雪の島 (KHM) 278
3 忘却の虚僧 (ZNR) 118
3 夢根の滝 (VOW) 262
3 雑食するもの、グロルナク (VOW) 238
4 シボウタケの若芽 (MID) 181
2 世界樹 (KHM) 275
1 原初の敵対者 (MID) 194
1 ラトスタイン翁 (VOW) 244
2 玻璃池のミミック (ZNR) 60
1 冠雪の沼 (KHM) 281

概要

解答は《雑食するもの、グロルナク》である。デッキからパーマネントカードが1枚墓地へ置かれるたびに追放。蛙声カウンターを置き、プレイ可能とするカエル。
この挙動が墓地離れを引き起こしており《柳の霊》成長条件を満たすことに気付く。
能力の特性上、パーマネントカードの枚数が重要なことから、先述したリーア型との共存は不可能となったことで素直に《シボウタケの若芽》《根囲い》らを用いた切削型とする。

さらに、墓地にあったら嬉しいクリーチャーランキング1位の《ドラコリッチ、エボンデス》、キッカーによる蘇生《忘却の虚僧》、全体除去に蘇生がついた《雪上の血痕》。クリーチャーカード特化の優秀な墓地肥やしかつ墓地クリーチャー枚数分のパワー/タフネスとなる《年経枝指》の導入に伴い青黒緑の三色デッキとなる。

使用感

この《グロルナク》なるカエル、戦場に出ただけでは何もしない4マナ3/3なことにひっくりカエル。3マナ3/3でも4マナ4/4でもない。
切削を誘発させるのは「カエルによる攻撃」。要は前もってカエルが居れば即誘発を狙えるのだが、この種族、あまりに数が乏しい。多相や《カエル声の写し身》による水増しまで考ガエル。


さらに、《グロルナク》は戦場を離れてしまうと蛙声カウンターが置かれたカードのプレイ権も同時に消失する。次の《グロルナク》を出せば再度プレイ可能となるが、今のMTGはただの4マナ3/3を出し続けて勝てるゲームはない。カエルに寄せすぎた所で拾える勝利あるわけがないと寝ガエル。

辛うじて、追放領域にカードを逃がしている観点から《真っ白》のような墓地追放で詰まない副次効果を生み出すも、詰まないというだけで厳しいことに変わりはない。
思い描いた完璧なシナジーは真っ白となった。

そうした観察結果を得られたのでドラフトの世界へ立ちカエル。すると、ピックしたレアにまたしても《柳の霊》適正があることに気付いた。

ドールハウス

《恐怖のドールハウス》である。

1マナで墓地のクリーチャーを追放し、そのコピーを生成する。

サイズが構築物依存となることで大型クリーチャ―の蘇生にこそ不向きであるが、そうでない者それこそ、元が1/1で育ってゆく《柳の霊》には何ら影響がないどころか、より大きくなってゆく。
さらには、速攻を付加することで《グロルナク》は即3枚切削を実現すると同時に、蛙声カウンターのプレイ権復活にも機能する。

※《年経枝指》とすごく相性がいいようで、サイズ決定能力は《恐怖のドールハウス》に上書きされてしまうのに注意。

こいこい

《柳の霊》に「切削」「土地」「追放」の札3枚。

彩りたるは”雨四光”

目論見通りのシナジーデッキと化し、「動けば勝てる」最低限デッキとしての体裁は手にした。こう毎度初手《シボウタケの若芽》と駆けつける《柳の霊》、《根囲い》による土地供給と上手く動ければこの世に苦労などありはしないだろう。

だが《恐怖のドールハウス》発見の功績は想像以上に大きく、なにより同時にデッキ足り得る最後のパーツを見出した。
戦場に出たときの誘発「敵対者サイクル」。蘇生コストたった1マナで済むために、残るマナを存分にぶち込めるのである。
最も適性の高い《原初の敵対者》を採用し、墓地からの奇襲を獲得した。

言うまでもないが、決して強くはない。

何とか楽しいデッキにはなったのでこれ以上の追及は行わない。

ありがとう、《柳の霊》。

つづく

次回は新聖人《嵐追いのドレイク》をお送りします。





 

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